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第32話.小テストの結果

誠が静と敦がいる教室に着いた時には、静は敦の問題用紙を見ていた。 敦が祈るような気持ちで自分の席で下を向いていると、採点をを終わった静が敦を呼ぶ。 「敦、おめ…でとう……満点…だ……」 「マジか! やったっ!」 敦が喜んでいる姿を見て、自分だって頑張ったんだからと誠は問題用紙を静に渡す。 「静、僕のもよろしく」 パラパラと問題用紙をめくる音がいつもより大きく聞こえる。 「誠」 呼ばれて勢いよく顔を上げて誠は静を見た。 「おし…かった……1問…間違って…る……」 ここ、と言われて見たところは何時もなら難なく解けている問題だった。 今見てみて、明らかに間違っていることが分かる程だった。 それは1番初めに解いた問題で、緊張が抜け切れていなかったのだろう。 悔しさがドンドンと広がってきて、誠はポロポロと涙を流す。 「何泣いてんだよ。間違ったのが1問だけで喜んでるのか?」 「違うっ!…ヒクッ……悔しいよぉ〜うわぁ〜ん」 盛大に泣き始めた誠に一瞬だけ注目が集まるが、すぐに自分達の話しに戻っていく。 「約…束……守る…から」 静がそう言うと誠はブンブンと首を横に振った。 「え? その為に勉強したんだろ?」 敦の言う通りだった。でも、いつからだったか勉強するのは自分の為になっていた。 「そんなっ…問題……間違って、おいて…生徒会長に…会えないっ…よ」 誠の目は真剣だった。 本気でそう思っている事が伝わってくる。 『分かった。自分で雪人に会えると思ったら言って。その時に紹介するから』 静をは涙を流している誠の頭に手を置くと紙を渡す。 涙を拭ってその紙を読むと、誠はコクンと頷いた。 その後学校からの小テストの結果が廊下に貼り出された。 入試の結果が加味されているため、1位は静のままだった。 敦は順位を10位まで上げていた。 そして驚きなのは誠の順位だ。入試の順位も()内に書かれていたので、本当に度肝を抜かれるほどのジャンプアップだった。 その順位を誠は信じられない気持ちで見つめる。 「35位?! 僕が?」 次回は静と敦と同じ教室で試験を受けられる順位だった。 「あの問題合ってたら18位だったな」 後ろから敦にそう言われ、誠は頭がクラクラしてしまう。 「静の言ってたオレ達で1〜3位独占っていうのも、実現出来る気がしてきたな」 周りには聞こえないように小さな声で敦は言ってニヤリと笑う。 誠は笑う余裕などなく、ただただ信じられない気持ちでその順位表を見ていた。

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