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第37話.大事件勃発①
静がシャワーを浴びている間、誠も敦と一緒に大浴場に行くようにしていた。
防音設備がしっかりしているので、静も安心してシャワーを浴びていた。
でもその日はシャワーを浴び終わった頃に、その部屋に入る2つの影があった。
部屋からカタンと音がして誠が帰ってきたと思った静はバスタオルに包まると顔だけシャワーブースから出した。
「誠?……早………?!」
そこにいたのは見たこともない男性2人。
その内の1人と目が合い、急いでドアを閉めて鍵をかける。
「おいっ!」
「どうした?」
「静ちゃんがシャワーブースにいる」
「俺達の為に綺麗にしてくれてたのかなぁ?」
ニヤけていることが容易に分かるような声がどんどんと近づいて来て、ガチャガチャとドアを開けようとする音がする。
部屋の鍵が閉まっている事はこれでもかというくらい確認した。
では今そこにいる人達はどうやって入ったというのだろう。
「どうせ、俺達がここにいる事がバレることはない。ドア、壊すか」
ドアを蹴っているのか音が先程よりも大きくなる。
おそらくここが開けられるのは時間の問題だ。
そんな中静は着るものがないか探す。
着替えはベッドの上に置いてある。先程まで着ていたものは誠が自分の洗濯物と一緒にランドリーに持って行った。
脱衣所をくまなく見ても着るものはない。
自分の体を隠せるものは今包まっているバスタオル1枚だけだった。
護身術を使うにしても、バスタオルがいつ落ちるかわからないような状態ではいつものキレは無いだろう。
声を上げても防音設備がしっかりしているからきっと誰にも届かない。
静はドアから1番遠い場所に蹲った。
『ダメだと思っても絶対に諦めるな。きっと静の声を聞いて助けてくれる人がいるから』
明さんから言われたことを思い出す。
でもきっとそんな人はいない。
ここにいるのが誠じゃなくて良かった。
自分だけしかいなくて良かった。
静はそう思う事しか出来なかった。
「バキバキッ!」
何かが壊れる音と共に先程聞こえた声が鮮明になった。
「ようやく開いた。静ちゃ〜ん、見〜つけた!」
まるで隠れんぼをしているかのように言われる。
誰も助けには来てくれないだろう、でも簡単に諦めたくはない。
恐怖で体が震えてくるのを気合いで押さえ込み、タオルがどうなろうと静は応戦しようと決めた。
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