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第41話.怒り
「本当の事なんでどうでもいい。静を傷つけたこと後悔させてやるよ。家の力を使うのは嫌だが、こんな時以外に使うこともないしな」
「明さん?!」
そこにいる面々を見回すと明は椅子に拘束されている2人の前に立った。
「生きている事を後悔するような目にあってもらうからそのつもりで」
「おっさんに何が出来んだよ!」
「そうだそうだ」
拘束されていても反省の色は殆ど無い。
「お前ら、やめた方がいい」
鈴成もコイツらを助けたい訳では無い。
「地迫先生? この方は?」
山崎先生が遠慮がちに聞いてきた。
「本島くんの保護者の大野さんです。あの大野家の正当な後継者です」
「大野家の?!」
大野家には逆らわない事
どの家庭でも小さい頃からそう言われて育ってきている。
鈴成の言葉に拘束された2人も蒼ざめる。
「相手によって態度を変えるのか。本当に腹立たしいな」
低い苛立った声にそこにいる誰もが怯えていた。
「明さん、やめて」
声がした方を全員が見る。
そこには拓海に支えられ、頰を真っ赤に腫らした静がいた。
「静、止めるな。コイツらのことお前だって許せないだろ?」
「許せないよ。でも、僕が大野家と関わりたく無いこと知ってるよね? ここで大野家の力を借りたら一生今日のこと忘れられなくなる」
「でも」
「お願い、やめて」
怒りはおさまらない。
でも可愛い静の頼みを聞かないわけにもいかない。
「分かった。その代わりこの2人は必ず退学処分にしてもらう。それと二度と静やその周りに近づかないよう念書を書いてもらう。それを反故にした場合は家の力を使ってでも社会的に抹殺する」
明はいつも持ち歩いているモバイルノートパソコンで何かを書くと、そこにあるコピー機を見に行った。
戻ってきてキーを押すとコピー機から何か印刷されて出てくる。
「念書だ。サインと母音を押せ」
拘束された腕を解放されると、2人は大人しく明の言うことに従った。
今日は金曜日で寮の担当教諭以外は校内に残ってはいないので、2人の処分は週明けになった。
ただ明が退学を望むということは、結果はそうなると決まっていた。
2人が山崎先生に連れて行かれると、静は階段の段差部分に腰を下ろした。
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