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第45話.拓海ママの非日常②

「さすが静。分かってるな」 あっという間に食べてしまう明さんの前に淹れたてのコーヒーを置く。本当によく出来た子だ。 「拓海さん、卵は目玉焼きとスクランブルエッグ、オムレツならどれがいい?」 コーヒーを飲みながら今日の新聞を読む明さんの横で本気で悩んでしまう。 「ふわふわトロトロのオムレツなんて出来る?」 「ベーコンとチーズも入れますか?」 「入れて欲しい」 明さんが急に腰の辺りをエロい感じで触ってくる。 「何ですか?」 静くんに聞こえない様に小さい声で明さんに抗議の目を向ける。 「夜もそのくらい素直に言って欲しいもんだ」 さっき言った言葉を思い出し、ボンと顔に熱が集まる。 何考えてるんだ、この人は! 「イチャイチャするのもいいけど、時間は大丈夫なの? 明さん」 イチャイチャしてないとは言えないけど、静くんに言われると恥ずかしさが倍増する。 「おっと、そろそろ出ないといけないか。拓海、今日は少し遅くなると思う」 「夕飯は?」 「多分食べて帰るから、今日は拓海が食べたいものを静にリクエストしたらいいよ」 やった、何をお願いしようかなぁ。 なんて思いながら、スーツのジャケットを着るのを手伝ってネクタイを整える。 色々なメニューを頭の中に浮かべていると、突然掠めとるようにキスをされた。 「ちょっ! 静くんもいるのに」 「俺を目の前にして他の事を考えてる拓海が悪い」 「僕の事は気にしなくていいから」 静くんの言葉に明さんはニヤリと笑って、いってらっしゃいのキスにしては濃厚なのをしてくる。 ピチャッという音を立ててようやく離れた頃には頭の中は明さんでいっぱいになっていた。 「じゃあ、行ってくるな」 明さんに続いて鞄を持って玄関に向かう。 開けたままのリビングのドアの所に頬を赤く染めた佐々木くんがいた。 「ご馳走さまでーす」 すれ違いざまにそう言われて、本気で恥ずかしくなる。 靴を履いた明さんが鞄を受け取るためにこちらを振り返る。 真っ赤になった僕を見て満足そうに微笑むとドアを開けた。 「行ってきます」 「行ってらっしゃい」 あの子達がいなければ普通の日常の1コマで終わるが、そういう訳にはいかない。 明さんは出掛けるからまだいいものの、この後どんな顔をして2人がいるリビングに戻ればいいというのだろう。

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