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第46話.相談①
起きたら静はいなかった。
もしかしたら眠れなかったんじゃないかと思う。
枕元にメモがあることに気がつく。
『明さん達の方のリビングにいます』
あっちへの行き方は教えてもらっていたので、とりあえず顔を洗ってすぐに向かった。
外に出るわけでもないから着替えなくていいな。
リビングの場所までは聞いてなかったけど、あの開いてるドアの所かなと思い中を覗くと、明さんと拓海先生がキスをしていた。
しかも結構激しめ。
目が離せなくなる。
ピチャッと音を立てて離れていく唇。
トロンとした目で明さんを見る拓海先生がとにかくエロい。
「じゃあ、行ってくるな」
明さんと拓海先生がこっちにくる。
隠れることもないよな。
明さんはオレがいることに気が付いていたのかすれ違う時にニヤリと笑った。
本当に格好いいよなぁ。
拓海先生はオレに気がつくとまるで火が出るかと思うくらい顔を真っ赤にした。
「ご馳走さまでーす」
かなりの年上と思えないくらい可愛い反応を示す拓海先生だから、明さんは自分のものだって誇示したがるのかな。なんて思いながらリビングに入るとめちゃくちゃ可愛い格好をした静がいた。
「敦、おはよ」
「静、その格好可愛過ぎ。自分で買った訳ないよな?」
「これ? 母親の形見っていうか、かなり気に入ってたんだろうね、10枚以上見つかってさ。着ないともったいないだろ?」
静は真っ白でひらひらがたくさんついたエプロンを着けていた。
すごく似合ってる。
多分静を好きな人が見たら速攻で押し倒すだろうと容易に想像できる。
「あ、まだ拓海さんには相談のこと言ってないんだ。明さんが行ってからと思ってたから」
「自分で言うから大丈夫」
「相談が終わったらブランチにしようと思うんだけど、敦は卵どうするのが好き?」
このいい匂いは静が作ったものか?
「どうするって例えば?」
「目玉焼きとかスクランブルエッグとかオムレツとか。ちなみに明さんは半熟の目玉焼きで、拓海さんはふわふわトロトロのオムレツだって」
どれも美味しそうで迷う。
「半熟のゆで卵って出来るか?」
「分かった」
結局1番好きなものを頼んだ。
「飲み物だけでも用意しようか? オレンジジュースでいい?」
「ありがと」
「静くん、僕にもお願い。2人には変なところ見せちゃってごめんね」
拓海先生はオレの真正面に座るとバツが悪そうにする。
「オレもあんなキスしたいです」
思った事を素直に言うと拓海先生はちょっと困ったように笑った。
「長谷くんと?」
静が鋭いのは拓海先生譲りか、と思ってからこの2人は親子じゃなかったと気がつく。
「はい、どうぞ。拓海さん?」
ジュースを持ってきた静が拓海先生に話しかける。
一口ジュースを飲むと口がカラカラに乾いていたことに気がつく。
「何?」
「敦がね、相談があるんだって。できれば先生としてじゃなく、人生の先輩としてアドバイスしてあげて欲しい」
静の言葉に感動する。
「誠が起きてこっちに来たら相談どころじゃなくなるだろうから、僕はあっちに戻るね」
さっきは開いていたドアがパタンと閉まると、何と切り出せばいいのか分からず、沈黙が広がる。
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