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第57話.誰が作る?

「鈴、今日は泊まれないの?」 「無理だな。そういえば、ここに来た目的を忘れてたよ。外泊許可書が必要でね。3人に名前を書いてもらわなきゃならなかったんだ」 鈴成はそう言うと持って来た鞄から紙を取り出すと3人の前に1枚ずつ置いていく。 渡されたペンでそれぞれ名前を書く。 「佐々木くんは月曜には寮に戻るんだよね?」 「はい、戻ります」 名前が書かれた紙の“期間”の所に鈴成が日付けを書きこむ。 静と誠の紙には昨日の日付けから部屋の修繕が終わるまでと記入されていた。 記入が終わった書類をクリアファイルに挟むと、鈴成はそれを鞄に戻した。 「じゃあ、俺は学校に戻るよ」 「待って。出来れば明さんに会って欲しいんだ」 静が笑ったことを報告するにしても、それを見た人がいなくては説明も出来ない。 「遅くなるんじゃないの?」 昨日仕事を放り出して来てしまったと言っていたことを鈴成は思い出す。 「聞いてみる」 スマホを取り出して拓海が明に連絡をとる。 「あ、明さん? 今大丈夫?……鈴が今来ててね、うん、ちょっと話したいこともあるから、帰りの時間どの位になりそうかな、と思って。うん、うん。ちょっと待ってね」 拓海はスマホから耳を外すと鈴成を見た。 「仕事は早めに終わりそうなんだって。7時過ぎには帰れるみたい。夕飯も一緒に食べれそうだって」 「わかった。こっちも10時までには帰るって連絡しておくよ」 鈴成はジーパンの後ろポケットからスマホを取り出すと寮に連絡を入れた。 「鈴、夕飯食べてくってことでいいんだよな?」 「あぁ、兄貴が作るのか?」 「僕が? まさか。静くん、鈴も食べて行くって」 静はコクンと頷くとメモとペンを取り出す。 「何か食べたいものありますか?」 「そうだな……」 鈴成が考えていると 「僕はオムライスがいい!」 誠が大きな声でリクエストをあげる。 「バカ、誠。今、鈴先生に聞いてるの。誠はこれから何度でも作ってもらえるだろ?」 「そっか。ごめんなさい」 鈴成は誠と敦のやりとりに微笑むと、静を見た。

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