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第86話.中間試験結果
中間試験の結果を確認するのに制服じゃなくてもいいと言われていたので、殆どの生徒が私服に帰省のためのカバンを持って登校していた。
誠は静と敦に選んでもらった紺のポロシャツに白のハーフパンツ、そして白のリュック(防犯ブザー付き)という出で立ちだ。
今回、誠と敦は帰省しないことにしていたので大きなカバンは持っていなかった。
静も夕飯を食べたら寮に戻ろうと思っていたので黒のリュックを背負っただけだった。
「静の防犯ブザーはウサギか」
「だって敦はピンクとか嫌がりそうだったから」
それはパステルカラーのピンク色で可愛らしかった。
「まぁ、そうだな」
「3つ貰ったは良いけど、残るのはコレだと思ってた」
「貰った?」
敦は静が用意したと思っていたのだが違かったらしい。
「うん。この前諒平さんに貰ったの。あなた達3人は持ってた方がいいわって言われて」
「この前聞きそびれたんだけど、あの人って何者?」
オネエ口調の静の知り合いとしか認識されていなかった。
「えっと、CLASSY ってブランド知ってる?」
「当たり前だよ! いつかあそこのスーツをオーダーメイドで作って貰うのが夢っていろんな人が言ってるじゃん」
「諒平さんはCLASSYの創業者で、メインデザイナーなんだよ。服を作ることにしか興味がないらしくて、取材とか一切受け付けないから、一部の人しかそのこと知らないみたい」
「マジかよ! あの人そんなに凄い人だったんだ」
サイン貰えばよかった。いや、いつかオレのスーツをって頼んでおけば良かったかも……敦が頭を抱えてブツブツ言っているのを静はクスッと笑う。
そういえば、誠が何も言わずに座っているなんて珍しいと、静は誠に話しかける。
「誠? 元気ないな。どうかした?」
「静、なんか緊張しちゃって」
中間試験の発表とこの後のお出かけのどっちって、お出かけだよなぁ。こういう時は僕よりも敦が適任なんだけど、と静は思いつつも誠の頭を撫でる。
「誠はいつものように楽しめばいいの。そうすると芹沼くんも嬉しいから」
「本当に?」
「うん。楽しいって思ったら、楽しいねって言うんだよ?」
「分かった。そうする」
いつもの笑顔を見て静はホッとする。
誠を元気付ける自分の方が緊張していたが、誠の笑顔にその緊張もすこし解ける。
「中間試験の結果貼り出されたって」
「うわぁ、見たくねー。補講じゃないこと祈るしかない!」
ぞろぞろとみんなが移動して行くのを3人は眺めていた。
背の低い3人は今行ったところで結果表を確認出来ないことを分かっているのだ。
「10分位したら行こうか」
「うん」
「だな」
「やっぱり静は凄いなぁ」
「敦も順位上がってるじゃんか」
「誠もだろ?」
「潤一はすこし下がったみたい」
「芹沼くんはジャンプアップしたね」
【中間試験結果】
1位 本島 静(1位)
5位 佐々木 敦(8位)
18位 河上 誠(23位)
25位 長谷 潤一(21位)
53位 芹沼 浩孝(108位)
✳︎()内の順位は飛ばした第2回小テストの結果です。
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