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第92話.【誠の休日】これってデートなの?!⑤
結局4人で喫茶店に入る事になった。
背の高い浩孝と潤一、テディベアを抱き締めた誠、そして綺麗な脚を惜しげも無く晒す敦。
周りから注目されない訳がなかった。
「それにしても偶然だねー。こんな所で会うなんて」
人を疑う事を知らない誠は敦と潤一に会えた事を本当に喜んでいた。
そんな誠を見て敦も潤一も胸が痛くなる。
「あのさ、本島って大野家と何か関係があるのか?」
1人なんの事情も知らない浩孝は周りに聞こえないように小声で話す。
「えっとねー」
「あー、誠、オレが説明するから大丈夫」
「お待たせしました。チョコレートパフェは?」
「お姉さん、僕です」
目をキラキラさせる誠にお姉さんは微笑むとパフェを誠の前に置く。
「お後は皆さんアイスカフェラテでよろしかったですか?」
「はい。ありがとうございます」
浩孝の笑顔にお姉さんは頰を赤らめていたことを敦は見逃さなかった。
「天然のタラシだな」
「ん? 何か言ったか?」
「いや、別に」
とりあえず誠にはパフェに集中してもらって、敦もカフェラテを一口飲んでから浩孝の質問に答えた。
「静の母親が大野家の人間だったんだって」
「だったってことは、もう関係ないとかか?」
「そっか、それも知らないんだ。静はね、中学の時に事故に遭って、両親を一度に亡くしてるんだ」
「え?」
思ってもないこと言われて浩孝は言葉を失う。
「で、そんな静を引き取ったのが静の母親のお兄さんで、その人が大野家の次期当主なんだって。でもどうしていきなりそんなこと聞いてきたの?」
浩孝は誠が襲われかけたことも含めて全てを話した。
話し終わると敦は溜め息をつく。
「ったく。何も無かったから良いものの、だから絶対に目を離すなって言ったろうが! 静に感謝だなぁ。防犯ブザーがあって良かった」
「敦も鈴付けてくれたでしょ? あれで防犯ブザーのこと思い出したんだよ? ありがとね」
この笑顔が失われなくて良かったと敦は本気で思っていた。
でも大野家って、関わりを少しでも持つと監視下に置かれるって、静がかなり嫌っていたのも分からなくない。
敦は帰ったら静を抱き締めたいと思っていた。
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