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第109話.【潤一の休日】まだまだ、足りない! 終
考えるのは敦の事ばかりだった。
抱いたらもっともっと可愛く見えてどうしたらいいのか分からなくなる。
好きで、大好きで、それでは言い表せない程敦でいっぱいになる。
洗濯が終わって乾燥機に移すと、俺は一度部屋に戻った。
起こさないように、なるべく音がしないように気を付けてドアを開けて、閉める。
敦のそばに行ってしゃがむとまだ寝ているようだった。
頭を撫でるとサラサラの髪の毛が手に心地良い。
前髪を上げるようにして額にキスをする。
「無理させてごめんな」
敦が身動ぐ。
「ん、潤一?」
敦が目を開けてこっちを見る。
「あ、敦、大丈夫?」
起き上がろうとするが、敦はすぐに諦める。
「大丈夫じゃない。喉、渇いた」
やっぱり無理をさせてしまったんだと思ったが、反省は後。今は水だな!
「水、持ってくる」
コップに水を入れて戻る。
「口移しで飲ませて」
「え? あ、分かった」
少量を口に含みキスする要領で水を敦に移す。
コクっとその水を飲むと敦は微笑む。
何度か繰り返すと、3回目に舌を絡ませてくるから、さっき分かった弱そうな所を舌で舐め上げる。
止まらなくなりそうな自分を押さえつけて唇を離した。
「敦、俺やっぱり、敦のこと大好きだ」
うーん、それでもなんか足りないんだよなぁ
大好きだと言いながら表情が曇ってしまい、敦の顔も曇る。
「潤一?」
敦が不安げに俺を見てる。
そんな顔をさせたい訳じゃない。
触れるだけのキスをした。
「愛してる」
うん、これがしっくりくる
「バカ、急に、そんなことっ」
見事に敦の顔は真っ赤になった。
「敦は?」
「そ、そんなの……オレも、だよ」
「ちゃんと言って」
「あ、あ、あ、愛してるっ」
消えゆくような小さな声、でもちゃんと聞こえた。
ヤバイ。嬉しくて泣きそうだ。
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