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第111話.【静の休日】天国と地獄②

家の前に着く直前に鈴成は少し緊張した顔で静に話しかけた。 「本島くん、少しだけ2人きりで話がしたいんだけど、いいかな?」 「え? あ、じゃあ、こっちで話しますか?」 今だって2人きりだと思うが、静は他の誰かに聞かれないというのが付くのかなと思い、二世帯の片割れの鍵を取り出した。 家に入ると静は鈴成の話が何なのか気になって、なんだか緊張してきてしまう。 「ここで大丈夫ですか?」 リビングダイニングで立ち止まると静は鈴成を振り返る。 「座ろうか」 2人掛けのソファに並んで座る。 「静」 突然名前で呼ばれ、静は顔を上げて鈴成を見つめる。 「今日は明さんに2人のこと話したいって思ってる」 なんて言えばいいか分からなくて静は優しく微笑む鈴成を見つめ続けることしか出来ない。 「俺は独占欲が強いらしい。だから約束がしたい」 「約束?」 「卒業したら、俺と結婚を前提に付き合って欲しい」 「え? え? ぼ、僕でいいの?」 静は驚いて、嬉しくて、幸せで、顔を真っ赤にして鈴成を見る。 「静じゃないとダメなの。だから、他の人から何を言われても断って?」 コクコクと頷く静の目から涙がポロポロと流れる。 「それと、これ、受け取って欲しい」 鈴成の手には指輪の箱が蓋を開けて置かれている。 中にはシンプルなデザインの指輪があって、キラキラしてる。 「サイズ大丈夫か心配だったんだよなぁ」 そう言いながら左手の薬指に指輪をはめられる。 「ピッタリだな! 良かった」 指に光る指輪が涙で滲む。 カシャッ 「え?」 静が音がする方に顔を向けるとスマホを持った鈴成がいた。 「静の写真1枚もないから撮りたいって思っていたんだ。うん、可愛い」 「恥ずかしいから、消して下さい」 「ダーメ。一緒に撮ろう?」 撮ったものはすでにパソコンに送信済みなので、消しても問題ないが、鈴成にはもったいなくてそんなことはできなかった。

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