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第112話.【静の休日】天国と地獄③
結局静は鈴成と一緒の写真を何枚か撮られてしまったのだった。
「変な顔してるのは消して下さいね」
「どんな静も可愛いから消さないよ」
後ろから抱き締められて耳元でそんなことを言われると、静はどうしたらいいか分からなくなってしまう。
いつもなら“可愛い”と言われると全力で否定したくなるのに、鈴成に言われると素直に嬉しいと思えることも静には不思議だった。
「指輪、実は俺とお揃いなんだ」
「え?!」
「俺はチェーンに通して首から下げることにした。これならいつでも付けていられるから。指に付けるのはちゃんと婚約してからかなと思ってる」
静の分のチェーンもあるようで、鈴成それを取り出した。
「静も使う?」
「今日だけはこのまま指に付けててもいいですか? 鈴成さんがはめてくれたからもう少しだけこのままにしておきたいです」
「じゃあ、チェーンも一応渡しておくよ」
そう言いながら静の可愛い言動にニヤニヤが止まらない。
チェーンも一緒に買ったのか可愛らしい袋に入っている。
静はそれを受け取るとそこから立ち上がった。
「そろそろ、隣に行きましょうか?」
「その前に」
鈴成は静の正面に回り込むとギュッと抱き締めた。
しばらくそうしていたら、明さんの方から少し大きな音がした。
ビクッとして離れると、2人して隣に向かった。
「あれ? 2人共もう来てたの?」
「なんか今、大きな音が聞こえたけど」
玄関の辺りに立っていた拓海は不安げにリビングダイニングを見た。
静がリビングダイニングを覗くと少しイライラした明さんがソファに座っていた。
「ちょっと行ってきます。あ、こういうのは前からあったことなので任せてください」
静は明さんの前に立つと声をかけた。
「明さん? 何かあった?」
「静?」
急に力強く抱き締められる。
「御触れが、出た」
明さんの言葉にガンと頭を殴られたようなショックを受ける。
「ターゲットは、僕、なんだね」
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