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第118話.【静の休日】覚悟④

「俺も抱きたいって思ってた。どうしても嫌だとか無理だと思ったら“絶対”って付けて嫌、無理って言って。そうしたらどんな状況でもやめるから」 そう言いながら鈴成さんは僕を横抱きにする。 「歩けるよ?」 「俺がこうしたいの。黙って連れてかれて?」 結局ベッドまで運ばれてしまった。 「あの、鈴成さん」 「どうした? やっぱり怖い?」 怖さが全くないと言ったら嘘になる。 でも、その事じゃない。僕は首を横に振った。 「今日は痕を付けないで欲しい……です」 「何で? 俺のものだって印付けちゃダメ?」 本当だったらそんな印でいっぱいにして欲しいけど、それを秀明さんに見つかったら、きっと鈴成さんが殺されてしまう。 「それは次の時にして?」 考えただけで涙目になって、そのまま見上げてお願いをする。 鈴成さんは顔を少し赤くして、頭をかいた。 「分かった。今日は痕を付けないようにする」 そう言われながら“次の時”が本当にやってくるのかは分からなかった。 頰に手を添えられ、鈴成さんの顔が近づいてくる。 前に言われたことも忘れて唇に感触がして離れていくまでずっと見つめていた。 「やっぱり目は開けたままなんだ」 クスッと笑われて慌てて目を閉じる。 「可愛いなぁ」 囁くように言われて、吐息が唇に届く。 それだけ近くにいるということで、更に目をギュッと閉じる。 それからは何もかもが初めてで、恥ずかしくて、嬉しくて、痛みも鈴成さんがもたらすものなら甘く感じた。 気持ちが良いのも通り越すと苦しくなるなんて知らなかった。 少し動こうとしたら腰がズキンと痛い。 「痛っ……」 「大丈夫か? 無理させたよな」 思わず声に出してしまうと、鈴成さんがワタワタとする。 「大丈夫ですから。ただ、喉が渇きました」 「水でいい?」 「オレンジジュースでもいいですか?」 「分かった。ちょっと待ってて」 鈴成さんが部屋を出たら、前に眠れるようにってもらった眠剤を用意する。 もちろん自分が飲む訳ではなく、鈴成さんに飲ませる為に用意した。 鈴成さんが持って来てくれたオレンジジュースを少し飲んで、見られないように眠剤をいつもより多めに入れる。唾液だけでも溶けるタイプのものだったからすぐに溶けて見えなくなる。 それを何だかんだと理由をつけて鈴成さんに飲ませることに成功した。 そして僕は熟睡している鈴成さんを1人残して部屋を出た。

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