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第135話.◆理緒〈リオ〉

「こんな端っこにいるなんて、見つけるのに苦労しちゃった」 すぐそばで声がしてそちらを見ると可愛らしい女の子がいた。 女の子の裸を見るのは初めてですぐに目を逸らす。 腕を触られて思わず払ってしまう。 「緊張してる? 大丈夫。私が全てしてあげるから」 手を払われたことを全く気にした様子はなかった。 またすぐに腕に手が伸びてくる。 ビクッとするが、今回は払わずにいられた。 「私のことは興味ない?」 「え?」 「ふふっ、ようやく声が聞こえた。少し話しましょ。ハル君もカズ君も気にしなくていいから。今日のシズカ君の時間は私のものだから、ね?」 「でも………」 こちらに向けられているビデオカメラを気にすることなく話なんて出来そうもなかった。 「あー、ビデオカメラね? ハル君一時中断よ。そうじゃないとバッテリー切れるまでずっと話しかしないから」 この女の子がここで1番強いのかな? 隣に座って分かったけど、この子は僕より小さい。 チラッと見て胸の膨らみに目が行ってしまい、慌てて逸らす。 「分かったよ。呼ばれるまでカメラは止めておく」 「ね、シズカ君。ビデオカメラの赤いランプは消えた?」 「え? あ、はい。今消えました」 みんな目が見えないって言われたことを思い出す。 自分の貧弱な体を見られていないと思えば少しは気が楽になる。 「まずは自己紹介ね。私は里緒。リオって呼んでね。多分20歳。ここに来てから時間の感覚がなくなっちゃって。目が見えないと余計にねー」 明るく言っているけど、苦しくない訳がない。 「私の大切な人の名前は……えっと………」 「スズヤさんでしょ?」 「そうそう。字はねー……ん………?」 「涼しいに也(ナリ)ですよ」 答えるのはリオさんではなく、他の人だった。 「大切な人のことは忘れちゃうけど、他の人の大切な人のことは忘れないって思ったからみんなで協力して覚えてるの」 サファイアの盲点なのかな? 「だからシズカ君の大切な人のことも教えて?」 「名前はスズナリさんです。字はチリンて鳴る鈴に成人とかの成の字でなりです」 「男の人と付き合ってるんだ! そりゃ私に興味無いわね。それより大切な人の名前、似てるね」 楽しそうに話しているこの人は外に出たいなんてもう思ってないのかな。 そう思ってすぐに否定する。 そんな訳ない。 「あの! 皆さんに聞いて欲しい事があって!」 それぞれ会話をしていたみんなの声が止む。 「僕は皆さんを外に出したいって思っています。いえ、時間がかかっても必ず大切な人のそばに帰します」

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