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第145話.◆仕切り直しで挨拶①
ドアが閉まる音がして、シンさんが声をかけてきた。
「あの2人出て行った?」
建物内を見回してみても、もう2人の姿はなかった。
「うん。出て行ったみたいだね。もういないよ」
握り締めていた指輪から手を離してみんなの方を向く。
2人がいなくなったと分かるとみんな鎖を固定されている所から外して思い思いの場所に移動する。
全員が僕の周りに集まった。
殆どが全裸なため目のやり場に困る。
「あの、静です。よろしくお願いします。さっきも言ったけど、皆さんを必ず外に出しますのでもう少しだけ待っていて下さい」
「あんまり気負うな。俺達のことは考え無くてもいいくらいだ。俺は咲弥、花が咲くの咲に3月の弥生の弥。サクって呼んでくれ」
優しそうな雰囲気を持った人だ。たぶんこの中で1番年上で、みんなを見守っているような人。
まっすぐに見つめられていることを考えると、たぶん目は見えている。
「あと、俺は目も見えてるし、記憶も殆ど無くなってない」
「その事は隠さなくてもいいの?」
「ここにいる子達に隠す必要ないしね。秀明様はどうか知らないけど、あの2人も知ってるよ」
晴臣さんと吾妻も知っているということか。
「ま、見えるっていっても色は変だけどな。白黒の世界だから」
サファイアの後遺症かな。
「ねぇねぇ、シズカ君から見て、サクって受けかな? 攻めかな?」
急に後ろから話しかけられて振り向くとオレンジの首輪をした女性がワクワクと顔に書いてあるような表情でこっちを見ていた。
「マナ、またそれ? そんなに気になるの?」
「だって、殆ど同じような体格の男と付き合ってるって事までしか教えてくれないんだもの。どっちがどっちなのか知りたいの!」
え? それって僕に置き換えると、僕側か鈴成さん側かってこと?
サクさんを見ると明らかに顔が真っ赤で、きっと僕側なんだなぁって分かってしまった。
「僕、こういうことには疎くて、よくわからないです。ごめんなさい。外に出られたら、サクさんの相手の方に聞いたらどうですかね?」
こう言っておけばこの中で聞かれる事はほぼ無くなるだろうと思って言ったのに、サクさんからは射抜かれる様な鋭い視線が。
「なーる。そうするわ、シズカ君頭いい! 私は愛美。愛に美しいで愛美。みんなはマナって呼んでるわ」
「私は日依李、漢字は説明が面倒だから割愛するわ。ヒヨリって呼んでね」
マナさんとヒヨリさんは仲が良いみたい。
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