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第181話.◇研究所

後藤「サファイアのことでお話ししたいことがあります」 森「んー、研究が忙しくて外に出られないので、研究室に来て」 森[研究所の地図] 森「こちらはいつでも大丈夫なので、着いたら電話入れてね」 後藤「分かりました」 森「あ、下の名前教えて。親しいってことにするから。俺のこともシンって呼んでな」 後藤「ハルオミです。シンさんでも良いですか?」 森「ん、構わないよ」 後藤「良かった。今日中には行きますので、よろしくお願いします」 森「話すときは普通にで頼むよ。じゃあ後で」 JOINを閉じると有馬さんに言わなくてはいけないことを考える。 森さんと呼ぶんだっけ。 あの人と2人だけで会ってサファイア以外の話とか出来るのだろうか。 する必要がないか。 研究所に向かう間、誰かにつけられていると感じた。 おそらく秀明様が尾行させたのだろう。 研究所の前で有馬さんに電話をする。 『晴臣?』 JOIN電話だから相手が自分だと分かっているのだろう。 それでも名前を呼び捨てにされてドキッとする。 「森さん、着いたよ」 『すぐに行くから待ってて』 「うん」 その場で待っていると、スラっとした物腰の柔らかい美人がこっちに向かって来る。 「晴臣、よく来たね」 ニコッと笑った美人は森さんと同じ声をしていた。 え? 髪の毛をキチンと整えるとこんな美人だったの? 「森さん、あの」 「とりあえず入って。中にいる間はこのセキュリティキーを必ず首から下げていて。そうじゃないと出られなくなるからね」 首にかけられたのは免許証程度の大きさのカード。 森さんの真似をしてそれを出入口横にある端末にかざす。 研究所の建物内にいる人達は森さんに注目している。 森さんの後をついて歩くと、好奇の目で見られて居心地が悪い。 「ここが俺の部屋。俺の許可が無ければ誰も入れない。だから安心していいよ」 部屋に入る時はセキュリティキー以外にも色々と操作をしていた。 「はい、どうぞ」 「お邪魔します」 室内は散らかっているかと思ったが、意外にも綺麗だった。

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