184 / 489
第181話.◇研究所
後藤「サファイアのことでお話ししたいことがあります」
森「んー、研究が忙しくて外に出られないので、研究室に来て」
森[研究所の地図]
森「こちらはいつでも大丈夫なので、着いたら電話入れてね」
後藤「分かりました」
森「あ、下の名前教えて。親しいってことにするから。俺のこともシンって呼んでな」
後藤「ハルオミです。シンさんでも良いですか?」
森「ん、構わないよ」
後藤「良かった。今日中には行きますので、よろしくお願いします」
森「話すときは普通にで頼むよ。じゃあ後で」
JOINを閉じると有馬さんに言わなくてはいけないことを考える。
森さんと呼ぶんだっけ。
あの人と2人だけで会ってサファイア以外の話とか出来るのだろうか。
する必要がないか。
研究所に向かう間、誰かにつけられていると感じた。
おそらく秀明様が尾行させたのだろう。
研究所の前で有馬さんに電話をする。
『晴臣?』
JOIN電話だから相手が自分だと分かっているのだろう。
それでも名前を呼び捨てにされてドキッとする。
「森さん、着いたよ」
『すぐに行くから待ってて』
「うん」
その場で待っていると、スラっとした物腰の柔らかい美人がこっちに向かって来る。
「晴臣、よく来たね」
ニコッと笑った美人は森さんと同じ声をしていた。
え? 髪の毛をキチンと整えるとこんな美人だったの?
「森さん、あの」
「とりあえず入って。中にいる間はこのセキュリティキーを必ず首から下げていて。そうじゃないと出られなくなるからね」
首にかけられたのは免許証程度の大きさのカード。
森さんの真似をしてそれを出入口横にある端末にかざす。
研究所の建物内にいる人達は森さんに注目している。
森さんの後をついて歩くと、好奇の目で見られて居心地が悪い。
「ここが俺の部屋。俺の許可が無ければ誰も入れない。だから安心していいよ」
部屋に入る時はセキュリティキー以外にも色々と操作をしていた。
「はい、どうぞ」
「お邪魔します」
室内は散らかっているかと思ったが、意外にも綺麗だった。
ともだちにシェアしよう!