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第182話.◇勘違い

「で、サファイアのことで話って?」 「最後に使用してから1年経つとその効力が切れるようで、目が見えるようになったり記憶が戻ったりするようなんです」 ジッと目を見つめられるとなんだか落ち着かない。 「ん、それで?」 「え? それだけですが」 「そうなの? これならJOINでも良かったんじゃ?」 言われてみると、確かにそうだったかも。 「何? 俺に会いたかったとか?」 「はい? 何でそうなるんですか?」 「違うか、残念」 何が残念なのだろうか。有馬さんはちょっと不思議だ。 「あ、そういえば、今日で1年で目が見えるようになった者がいるのですが、ほぼ1日高熱が続きました。それと、見えるようになったと言っても、個人差があるようで、全体が白黒に見えたり、中心はカラーだけど周りは白黒に見えたりとあるようです。有馬さんはどう思いますか?」 「森」 「え?」 「森て呼んでよ」 話し聞いてなかった? 自分だけが一生懸命みたいで、なんか嫌だ。 しばらく黙っていたら、小さく溜め息をついてから有馬さんは話し始めた。 「高熱はおそらく、体に残ったサファイアの残骸と細胞が戦っていたから出たんだと思う。目の見え方の差は、その命令をされた時のサファイアの量が関係してるんじゃないかな」 聞いてた。当たり前か。この話をするために来たんだから。 研究者の意見は流石だと思う。 「あのさ、付き合ってよ」 「日本に戻って来て足りない物とかありますよね。俺で良かったら買い物付き合いますよ」 「思った通りの勘違い」 「え? 何ですか?」 勘違いとか聞こえた気がするけど気のせいだよな。 気が付いたら目の前に有馬さんが立っている。 自分も立ち上がろうとしたら肩を抑えられた。 「有馬さん?」 何をしたいのかよく分からず見上げようとしたら、それを助けるように顎に手が伸びてきた。 しばらく見つめ合って、綺麗な顔から目が離せなくなる。 有馬さんの顔が近付いてくるのも、まつ毛長いなとかそんな事を思ってそのまま見ていた。 ふにゅっ 唇に柔らかい感触がして、自分に何が起こっているのか分からなくなる。 チュッチュッ リップ音が聞こえてきて、キスをされたと気づく。 恥ずかしくて目をギュッと閉じると、有馬さんの唇をより感じてしまい更に恥ずかしくなる。 「ふっ、可愛い」 「そんなっ、んんんっ、やっ、、まっ、んぁっ、、」 そんな訳ないと反論しようとしたら、有馬さんの舌が入ってきて優しく色んなところを舌で撫でられる。 頭が真っ白になった。

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