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第203話.◇メッセージカード再び
諒平は金庫の中から半年後と書かれたメッセージカードの入った封筒を取り出す。
封筒を開けて宛名の確認をする。
鈴成さん、敦、誠、拓海さん、諒平さん、風間先生、ハル先生、長谷くん、芹沼くん、森さん、明さん。
全部で11枚。
諒平は拓海に連絡を入れる為にスマホを取り出す。
『諒平さん? どうしました?』
「拓海ちゃん、静ちゃんがいなくなって来週で半年でしょ? 静ちゃんから預かったメッセージカードなんだけど」
『近い人達だけでしたか?』
「そうね、宛名読むわね。鈴きゅん、敦ちゃん、誠ちゃん、拓海ちゃん、私、伸晃さん、ハル先生、長谷くん、芹沼くん、森、明きゅんの全部で11枚ね。前のようにうちに集まって貰うって事でいいかしら」
前回は3人だけだったメッセージカード。
どんなメッセージが書いてあるのだろうか?
『そうですね。読むための光の波長は諒平さんの所じゃないと分かりませんから、そうして頂けるとありがたいです』
「森には私から連絡するから後の人達をお願いしてもいい?」
『もちろんです。そういえば、森さんと言えば』
「晴くんに告白したみたいね。確かに森の好みにどストライクなのよね〜」
『その事で今度2人で話せませんか?』
「え?」
森も一緒にではなく、拓海と2人と聞いて諒平は少し疑問に思う。
『ちょっと僕が焚きつけてしまったんです。思い合ってるって感じたので。でも、晴臣さんは悩んでるみたいで』
「あーなるほど。森は突っ走るからね。こっちは連絡さえして貰えばいつでもいいわよ」
『ありがとうございます』
「ふふっ。その時に明きゅんに電話しなさいね。全然連絡してないんでしょ?」
鈴成のことを考えると、自分だけ明に電話をして声を聞くなんて出来なかった。
明への連絡専用のスマホはまだ1度も使っていない。
『でも』
「明きゅんのメッセージカードもあるのよ? その事を伝えないとでしょ?」
『そう、ですね』
静からの贈り物のようで、心が温かくなる。
『えっと、明日お会い出来ますか?』
「ちょっと待ってね。明日だと、午後3時以降であれば大丈夫よ。来る前に電話だけお願いね。仕事が長引くこともあるから」
『分かりました』
拓海は電話を切り、明専用のスマホを取りに行く。
電源すら入れていないが、充電はしてある。
もしかしたら何度か、かかってきているかもしれない。
そう思うが、どうしても電源を入れる気にはなれない。
声を聞いてしまったら会いたいという思いが溢れて止まらなくなることが容易に想像できる。
「明さん」
久しぶりに名前を口にした。
それだけで会いたくて、抱き締めて欲しくて、胸が締め付けられる。
「どこにいるの?」
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