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第216話.◆◇愛しくて①◇◆
✳︎回想です。
✳︎ラブラブ&甘々♡
明さんからシャワーでも浴びて待ってろって言われて浴びたはいいが、静から望まれるなんてあるのかな?
きっとそういう行為はまだ怖いだろうし……キスして抱き締めて眠る位は許してくれるかなぁ。
いつもの様にハーフパンツは履き、上半身は裸のままバスタオルを肩にかけると、水を飲みに冷蔵庫へ向かう。
「あ、静」
兄貴と風呂にでも入ったのか、少し濡れた髪と上気した肌。
少し、いや、大分変な想像してたから色っぽくて眼が離せなくなる。
その場で立ち尽くしていると静が抱きついてきて見上げられた。
「鈴成さん、あの、えっと」
何か言おうとして黙る。しきりに息を吐く様子を見ると緊張してるのかな? と思った。
「ゆっくりでいいよ。いくらでも待つから」
何をしていても可愛いと思うから微笑んで見つめると、静は頬をポッと赤く染める。
仕草1つを取っても本当に可愛い。
そんな静が覚悟を決めたように1つ頷くともう一度見上げてくる。
「……抱いて…下さい……」
「え? 意味分かってる?」
まさかの爆弾発言に驚いて質問をしてしまった。
抱き締めての間違いかもしれないし、反応しそうな下半身を宥める。
「ごめんなさい。こんなこと言ってはしたないですよね」
はしたないなんて古風な言い方が静によく似合っている。
俯いて抱きついていた腕もだらんと下げられてしまう。
嫌われたって思ったかな?
前に本気だって言ったこと忘れちゃったかな?
消えて無くなりそうな静をギュッと抱き締める。
そうしたらまた見上げてきた。
「謝らなくていいよ。静にそんなこと言われたら止まらなくなっちゃいそうでさ」
静が怖がる事はしたくない。でもやっぱり抱きたい。
まるで自分が高校生のようで苦笑する。
「俺も抱きたいって思ってた。どうしても嫌だとか無理だと思ったら“絶対”って付けて嫌、無理って言って。そうしたらどんな状況でもやめるから」
やめられるか? 大丈夫。静のことを1番に考えれば、そうなる。
自問自答して、やめられると自信を持って言えると思い、静を抱き上げる。
「歩けるよ?」
「俺がこうしたいの。黙って連れてかれて?」
お姫様抱っこをするといつも思うが、静はもう少し太った方がいいな。今度一緒に美味しいと評判の店にでも行くか。
暴走しそうな自分を落ち着かせる為に、今とは全く違う事を考えてみる。
でもベッドに静を下ろせば、やっぱりこの後の行為に期待してしまう。
さっきローションもコンドームも用意した。
その準備は無駄になってもいいと思っている。
………ウソだ。無駄になって欲しくない。
「あの、鈴成さん」
「どうした? やっぱり怖い?」
少し浮かない顔をした静に優しく声をかける。
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