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第228話.◇集合
静のメッセージカードを受け取る為にみんなが集まり始めた頃には明も泣き止み、いつも通りに戻っていた。
「本当に明さんがいる! 拓海さん、良かったですね!」
「うんうん、ずっと寂しそうだったもんね」
「こらこら、そんなことないでしょ? そう思っても言わないで」
敦と誠の発言に拓海は頰を赤らめる。
「そっか、寂しがってたか」
「明さん?! 聞いてたの?」
ニヤリと笑う明の顔を直視出来ない。
「何? 明も拓海もこんな可愛い子達と仲良いの?」
「うわぁ、凄い美人さんだぁ」
「静の知り合い?」
森は髪の毛を切りに行ったらしく、その美貌を隠していない。
「初めまして。有馬森ね。森でいいよ」
「僕は河上誠です」
「オレは佐々木敦です」
「俺は昔静の家庭教師をしたことがあって、明と諒ちんの同級生だよ」
敦は森の名前を聞いて考えるそぶりをする。
「あの、有馬さんって研究者の有馬さんですか?」
「ん? 俺のこと知ってるの?」
「今まで見てたビジュアルとかなり違うので半信半疑でしたが……。明さんと諒平さんと同級生って、なんか凄い人が集まってたんですね」
敦の言葉に明と森が顔を見合わせる。
「俺達は別に普通だと思ってるけどな」
「だな」
「なぁ、どうやったらこの中に溶け込めるんだ?」
「ヒロ、それを俺に聞くのは間違ってるだろ」
「すまん」
潤一と浩孝は部屋の端で、対照的に部屋の真ん中にいる敦と誠を見つめる。
「2人は真ん中に行かないの?」
「ハル先生? あれ? 髪の毛」
「実習の時は黒に染めてたから」
茶髪のハルはより若く見えて、本当に高校生のようだ。
「明さんってどの人?」
「拓海先生の隣にいる黒髪短髪のイケメンです」
「ホントにイケメンだね。ちょっと行ってくる」
ハルの後ろに付いて、潤一と浩孝も部屋の真ん中に向かう。
「初めまして。諸角春と申します。静くんに無理させたこと謝りたいってずっと思ってました」
「君がハル先生か。気にしてないよ。静と友達になったんだろ? それが全てだから」
「ありがとうございます!」
頭を下げたハルに敦と誠がそばに寄る。
「ハル先生! 久しぶりです。黒髪より茶髪の方が似合ってますね」
「ハル先生、可愛いね」
「もう! 敦くんと誠くんの方が可愛いから!」
再会を喜ぶみんなの中、鈴成も到着する。
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