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第240話.◇再会①

船を降りると沢山の人がいる。 目の見えない6人は知らない人の気配に怯える。 「あの、あなた方も話は聞いているかと思いますが、リオ、マナ、ヒヨリ、ユウト、ヒサギ、フユの6人はあなた方の記憶がありません。知らない人なんです。同じ様に喜べないと思いますが温かい目で見てやって下さい」 咲弥の言葉に駆け寄ろうとした面々が足を止める。 「咲弥……」 「航、すまん。少しだけ待っててくれるか? こいつらを届けてくるか、ら?!」 急にギュッと抱き締められて、泣きそうになる。 それをグッと抑えて航から離れると、咲弥はふわりと笑った。 「後で、な?」 「ん、待ってる」 「あの! サクの婚約者さんですか?」 「あ? そうだけど?」 愛美が航に詰め寄る。 咲弥はやんわりと愛美の肩に手を置くが、声は鋭い。 「マナ!」 「だって、シズカ君に言われたでしょ? 真相はサクの婚約者に聞いたらいいって。だから……」 「だからじゃないだろうが」 「何のことだ? 俺が答えられることなら答えるが」 「航は黙っててくれ」 航の言葉に愛美は目をキラキラさせて、咲弥の声は無視している。 新一郎は咲弥の肩に手をポンと置くと憐れみの声をかける。 「もう、諦めろ。ああなったマナを止められるヤツはいないだろ」 咲弥ははーっと溜め息をつくと、その行く末を見守ることにした。 「マナったら、サクが受け身側だなんてこと、丸分かりなのにねぇ?」 「本当にね?」 和泉と日依李の会話に咲弥は驚く。 「お前ら?!」 「私達は相手は女の子だけど攻める側よ? 分からない訳ないでしょ?」 「そうそう。でもリオ、サクのってかなりデカかったんでしょ?」 いきなり話を振られ、更に下ネタで里緒は恥ずかしそうに俯く。 「うん、すごく大っきかった。秀明様も含めて1番………」 「痛く無かったの?」 「サクは凄く優しく抱いてくれたから、痛く無かったよ」 「ずっと聞きたかったんだけど、誰が1番気持ちよかった?」 その和泉の質問に男達は耳がダンボになる。 「1番はシズカ君。相性が良くて、演技する間も無くイっちゃった。だから大きさとか関係ないのかもね」 いきなり下ネタを始めた為に、迎えに来た面々も近づくことが出来なくなってしまった。 そこに愛美が戻って来た。 「へへへ。やっぱりサクは受けか。結婚式には必ず呼んでよ!」 「はいはい。揃ったし、1人ずつな。まずはリオ」 「うん」 「涼也( すずや)さんですね? リオは1番辛いことが多かったので、優しくしてやって下さい」 「里緒……生きててくれてありがとう」 涼也の声に里緒は首を傾げる。 「里緒?」 「あなたの声、聞き覚えがある気がするの。何処だった?」 『里緒、待ってる』 夢に出て来た人の声と重なる。

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