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第241話.◇再会②
里緒は夢に出て来たあの人が目の前にいると分かり手を伸ばす。
涼也は里緒を抱き締めると、涙をホロリと零した。
「お帰り、里緒。ずっと生きてるって信じてた」
抱き締められるその腕にも覚えがあった里緒は自分の腕を涼也の背中に回した。
「ただいま。涼くん」
ふと口をついて出たのはいつも呼んでいた愛称だった。
覚えていないはずなのに、里緒は不思議な感覚に包まれる。
「え? 思い出したのか?」
里緒はフルフルと首を横に振ると申し訳なさそうな顔をする。
「ごめんなさい。あなたは夢に何度も出て来たの。だから声に覚えがあって……。それと私はたくさん汚れちゃった」
「里緒は前と変わらずキレイで可愛いよ。俺は汚いとは思わない」
「でもっ!」
「俺が何度でも消毒してやるから、大丈夫」
自信満々の涼也の言葉に里緒はふふっと笑った。
「次はマナ」
「はいはーい」
「康平 さんですね? マナはいつでも元気で俺達も元気付けられていました」
「サク、そんな事思ってくれてたんだ! ちょっと嬉しいよ」
咲弥は愛美を康平の方に向ける。
「そうか。ほら、マナの大切な人が目の前にいるぞ」
咲弥に背中を押されて愛美は一歩前に出る。
「愛美……本物だよな? やっと会えた」
康平は手を伸ばし、愛美の頰に手を当てる。
「温かい」
愛美はその手を握ると目から涙が溢れてきた。
次から次へと涙は溢れ、止まる事がなさそうだった。
「愛美?!」
「ごめっ、なんか、急に……」
涙を手で何度も拭う愛美を康平はギュッと抱き締めた。
「もう、絶対に離れないから」
「康……」
小さい声だが確かに自分の名前を呼ばれ、康平は抱き締める腕に更に力を込めた。
「愛美、お帰り」
康平は一度愛美を離すと頭を撫でた。
「康、ただいま」
その笑顔は全く変わっていないようで、康平は眩しく感じて目を細めた。
「次はヒヨリ」
「ん」
「亜愛 さんですね? ヒヨリはマナの保護者みたいな感じだったな。俺的には色々と助けられたよ」
「あら、そう? サクも色々と大変だったわよね」
「俺の事はもういいよ。ほら、目の前にいるぞ」
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