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第260話.◆1人

✳︎ネガティヴ思考全開です ✳︎読むと暗い気持ちになります クリスマスクルーズから帰って来た。みんながいなくなったからここは僕1人でとても広い。 みんなのベッドはそのままだし、寂しくて涙はたくさん流れるけど揶揄う声も心配する声も何もしない。 秀明さんが来たら今度こそ『もうこんなことはしたくない』と伝えようと思っているが、数日経っても来ない。 いや、来ないなら来ない方が良いのだけど、1日中のほとんどを1人で過ごすのも辛い。 晴臣さんも吾妻も1日に数回来てくれて話し相手になってくれる。 みんなは入院したんだって。 年明けまでは色々な検査をしなくちゃいけないらしく、大変そうだなって他人事のように思う。 年が明けてからもサファイアを体から排泄させる処置をするらしく、なかなか家には帰れないって聞いた。 せっかく大切な人と再会出来たのに、みんな寂しがってないかな。 大切な人 夢の人が僕の大切な人なんだろうか? 船の上で聞こえた声はあの人のものだった。 実在するのかな? それとも僕の妄想が膨れ上がっただけ? 何があっても待ってるから 言われた言葉を思い出す。 泣きそうな声で叫んでた。 僕がこんなに汚れてしまったって分かったら、きっと離れて行ってしまうだろうなぁ。 もう、秀明さんを受け入れることは当たり前のことで、嫌だと思うのに心と身体が結び付かない。 心は拒絶しているのに、身体は……抱かれない日はどこか疼いてしまう。 そんな自分が嫌で、刃物でもあれば死ぬことも出来るのに、なんて考えてしまう。 自傷行為はしたくても出来ない。 爪は深爪に切られてヤスリまでかけられて、腕に突き立てても引っ掻く事が出来ない。 点滴の針も以前の様に腕に残す事も無くなってしまった。 目が見えれば色々と探すことも出来るが、何も見えないからそれも出来ない。 僕に生きている価値ってあるのかな? シズカが外に出られたらまた集まろう サクさんに言われたことを思い出した。 みんなに会いたい。会いたいけど、その頃にはもっときたなくて綺麗になったみんなに会っちゃいけない気がする。 だって、ここにいたってことは忘れたいことだから。 僕と会ったら嫌でも思い出しちゃう。 きっとここから出られたとしても、僕は誰とも会わずに1人でひっそりと生きていくことがみんなの幸せを壊さないでいられる、唯一の方法だ。 そのままひっそりと死んだらいいんだろう。 目が見えなくて声も出せない僕が死んでも、悲しむ人なんて……今の段階では秀明さんだけだ。 その秀明さんも代わりをすぐに見つけて僕のことなんてすぐに忘れてしまうだろう。 ああ、僕は生きていても死んでもそんなに大差はないんだなぁ。 待っている人がいるなんて単なる妄想で、夢の人も実在なんてしない。 秀明さんを怒らせたら殺してくれないだろうか? この時の僕は何もかも諦めて、差し込む弱い光があることに気がつく事が出来ないでいたんだ。

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