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✲第302話.【敦の過去編 2】⑩

✳︎眞尋×敦を含みます 嬉しそうに笑う眞尋さんを見ると『淫乱なネコ』が褒め言葉のように感じてしまう。 眞尋さんに中の気持ち良くなる所を何度も何度も擦られて、訳が分からなくなった。 覚えているのは肌と肌がぶつかるパンパンって音と、もう一度イッてしまったこと。 その後、眞尋さんがコンドームを外してオレの足にちんこを擦り付けて足に向けてビュルルって大量の白いのをかけたことも何となく覚えてる。 次の日の朝起きたら頭のカチューシャも手のもふもふも無くなっていて、身体も綺麗になっていた。 でもお尻はまだ違和感があって、昨日のことが夢じゃないって痛感する。 「敦くん、昨日は無理させてごめんね。体平気?」 「大丈夫です」 「辛ければ今日は1日寝て過ごしてもいいよ」 「昨日勉強してないから、午後からは勉強したいです。それと、今日の夕方に家に帰ってもいいですか?」 ダメだって言われるかと思ったけど、眞尋さんは少しだけ悲しそうに笑って頷いてくれた。 「分かった。いつも通り家まで送るね」 お昼は眞尋さんの家の近くにあるラーメン屋さんで、美味しいとんこつ醤油ラーメン、味玉入りを食べた。 その後はいつものように図書館で勉強をして、家まで送ってもらった。 眞尋さんとセックスしたのは間違いの無いことだけど、オレはこれからどうしたらいいのかな………? このまま眞尋さんに勉強を教えてもらう? そうしたら、またセックスするのかな? 気持ち良かったけど、なんか空っぽだ。 ーーーーー(現実に戻ります)ーーーーー 「眞尋さんとのセックスはその後も何度かしたんだ。勉強を教えてもらう代わりにって感じで」 あの頃のオレにはあの快感が中毒みたいになってた。 「でもね、それも眞尋さんに恋人が出来て急に終わったの。酷いよね。オレも別に好きな訳じゃなかったから傷つくこと無いのに。その後は、酷かったな。銭湯に行って、気になる人がいたら目の前でオナって誘惑して、とか。結局快楽に溺れてたんだと思う。恋人なんて1人もできなかったし、自分でも自分が最低だって思ってた」 話してたら自分が汚くて、静に触っちゃいけない気がしてきた。 手を離そうとしたら、キュって握られて離せなくなる。 「実はね入試の日の朝に潤一に会ったんだ。走ろうとした時に誠がオレのシャツを握り締めてるの知らなくて、転びそうになってね。それを抱きとめてくれて。顔見たら眉間にシワ寄ってるし怖かった。でも、その腕には下心なんて何もなくて。心が綺麗な人なんだなって思ったんだ」 もしかしたら一目惚れだったのかも。 「今でも、潤一のオレへの気持ちとか凄く綺麗でね、オレみたいな汚れ切ってるのと一緒にいちゃいけないって思うんだ。でも、好きだから、大好きだから離れられない。今話したこともまだ全然言えてないし、言ったら何もかも終わっちゃいそうで」 涙が出てきて止まらなくなる。 相変わらず声を上げることはない。 「静も怖いの? でも鈴先生はどんな静でも受け入れてくれるよ。大丈夫。オレが保証する」 『長谷くんも受け入れてくれるよ。大丈夫』 空耳かな? 静の声が聞こえる。 いつもの優しい声だ。 「でも、やっぱりいらないって言われるのは怖い」 小さい頃から母さんに言われてた言葉は、仲良くなっても消えることは無い。 『大丈夫。お互いに相手を信じようって言ったの忘れたの?』 空耳じゃない? 静の口は動いてない。 でもでも、今の声の内容はオレ達3人しか知らない事だ。 「覚えてる。じゃあ、静も鈴先生のこと信じなきゃダメだから」 オレの昔話で静がもっと殻に閉じこもったらどうしようかと、途中から思っていた。 全部話して、潤一にもちゃんと話さなきゃいけないって思った。 それで捨てられたら、1人で生きていけるように強くなろう。 「そしたら、鈴先生と代わるね。長い話聞いてくれてありがとう」 静の頭を撫でてから握っていた手を離す。 あの声は何だったんだろうって思いながら病室を出ようとしたら、またそこに壁があってぶつかってしまう。 「え?」 壁にギュッて抱き締められた。 「何で? どうしているの?」 「敦」 大好きな声に胸がふるえる。 オレの問いかけの答えになってない。 いつからいたんだろう。 話聞いてたよね? 今、静と相手を信じるって約束したことを思い出したところなのに、捨てられる恐怖に動けなくなる。

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