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第337話.エコー検査

サポートをするに当たってどんな検査なのか別室で説明を受ける。 鈴成さんは静さんに付き添っている。詳しい事は伝えたくないようだ。 「これからするエコー検査なんだけど、まず試薬を尿道から入れる。これは前にも話したね。それが出てしまっては検査が出来ないから、尿道口はテープで塞ぐから。それでその状態で20分放置」 「試薬とサファイアを反応させるってことですか?」 それだけで辛いだろうことが容易に想像出来る。 「さすがだね。話が早くて助かるよ。その後にそのままの状態でエコー検査だ」 「普通のエコー検査と同じですよね? エコーゼリーを塗って」 「そうだね。陰茎と陰嚢どちらも隅々まで調べるように雅史には頼んである。エコー写真もたくさん撮ってもらう予定だ。出来れば明日の朝から点滴で薬の投与を開始したいと思っている」 「パッチテストはしますか?」 「エコー検査が終わったら俺は投与する薬の量の計算に取り掛かるから、パッチテストは晴臣にお願いしてもいいか?」 「分かりました」 もし、アレルギー反応でも起こったら死ぬことも考えられる。そんなことはあってはならない。 「後藤くん、宜しくね」 「はい、何かありましたら何でも言って下さい」 看護師として仕事を担うのは久々だ。 念の為に持ってきていた白衣の袖に手を通すと気が引き締まる。 「晴臣、緊張してる?」 「看護師として病院で仕事をするのは本当に久し振りのことなので、緊張しない訳がありませんよ」 「白衣姿の晴臣が見られて俺はかなり嬉しいけどな」 「こんな時に冗談はやめて下さい」 「冗談のわけがないだろ? 本気だよ」 「余計に問題ですよ」 真剣な顔をして言われて思わず笑ってしまう。 「やっと笑った。晴臣が緊張すると静にそれがうつってしまうかもしれないから、リラックスな」 森さんがふわりと笑って俺の頭を撫でた。 その瞬間肩の力が抜けて周りが良く見えるようになった。 森さんが俺に与える影響はいいものばかりで、逆にどうしていいか分からなくなる。 「そうですね…………ありがとうございます」 聞こえないくらいの音量でお礼を言う。 「ん? 何か言ったか?」 「いえ、何も。検査室に行きますね」 「あぁ、俺も検査には立ち合うから一緒に行くよ」 今泉先生が検査をしやすいようにサポートをしよう。 余計な事は考えずに静さんの体調の変化も見なければ。 静さんは喋れない。だから表情から読み取る必要性がある。 まず初めに鈴成さんにアイマスクをしてもらう。 耳栓もするか聞いたが、それは断られた。 もしかしたら静さんが声を発するかもしれないからと………。 「それでは始めますね。試薬を」 「はい。こちらです」 試薬を先端が傷つかないように加工された注射針が付けられた注射で吸い取る。 「静くん、ごめんね。痛いし違和感もあると思うが我慢して欲しい」 手術用のゴム手袋をして静くんのペニスを持ち、尿道口に慎重に針を刺すと試薬を徐々に注ぎ込む。 針を刺す時に体を硬直させるのが分かる。 思い出しているのかもしれない。秀明様に尿道責めをされた事を。 今泉先生は試薬を数度に分けて注ぎ込んだ。 そうしてから尿道口をテープで塞ぐ。 静さんは眉根を近づけて浅く呼吸を繰り返す。 辛い状態だと見るだけで分かる。 俺は静さんの額に浮かぶ汗を拭き取ることしか出来ない。 「静さん、辛いですよね。でも、もう少し頑張って下さい。こんな事しか言えなくてすみません」 僅かに首を横に振る静さんはきっと『晴臣さんが謝ることではないよ。僕は大丈夫だから』と言いたいんだと思う。 静さんはどこまで行っても優しくて周りの事を考える人だから………。 「20分経ったね。雅史、エコー検査開始して」 「分かった」 「今泉先生、エコーゼリーです」 おそらく渡す必要も無いほど近くに置いてあったが、何かしないといられない。 ゼリーまみれになる陰茎と陰嚢。 そこにプローブを押し当てる。 今泉先生と森さんと俺の3人でモニターを見る。 モニターに映し出されたのはサファイアが蓄積している事がひと目でわかるものだった。 「この、他よりも明るく見えるところが蓄積している………?」 「そうだ。やはり量が多いな」 どの角度で見ても全体的に明るい。 それは陰茎も陰嚢も同じだった。 手元のボタンで簡単にエコー写真は撮れる。 何度も何度もボタンは押される。 エコー検査が終わる頃にはプローブでゴリゴリと刺激された静さんのペニスは勃ち上がっていた。 「鈴成さん、検査は終わりました。静は今かなり辛い状況だ。もう一度刺激してやってくれ。手袋はここに置いとくよ」 森さんは前もって用意していたのかタオルも取り出した。 「試薬も出てくるだろうから体を拭くタオルも置いとくな」 アイマスクを外した鈴成さんは今にも泣きそうな顔をしていた。 それは見なかったことにして、森さんと今泉先生と検査室から出た。 扉を閉める時に静さんを抱き締める鈴成さんの姿が見えた。

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