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第340話.悪い予感ほど的中する
「誠にはまだ早い」
「何それ。敦は長谷くんと寮も部屋もクラスも一緒でしょ? 僕は寮も部屋もクラスも違うんだよ? なかなか会えないんだよ?」
当事者の俺は佐々木に任せて行く末を見守っている。
「それでもダメ」
「むーーー。付き合うことになったのに、ダメなの?」
「だからこそ、ダメ」
「ねー! ヒロくんはどう思う?」
いきなりこちらに質問がやってきた。
「俺にも、まだ早いかな。特に今日は我慢出来なくなりそう」
「我慢?」
曇りのない綺麗な目できゅるんと見上げられる。
「そ、エッチなことしたくなりそ」
誠の耳元で囁くと、急に顔を真っ赤にした。
可愛いなぁ
「ええ?! それは………分かったの。今日はヒロくんと一緒に寝るのやめる。でも、いつか一緒に寝てくれる?」
「そうだね。いつかね」
誠に抱き着かれてそのままぎゅっと抱き締める。
「おやすみ、誠」
「おやすみなさい、ヒロくん」
ようやく納得してくれた誠とおやすみの挨拶をして、俺とジュンは自分達の部屋に戻った。
部屋に入ると盛大な溜め息が出る。
「ヒロも大変だな」
「だいたい、誠の裸を見ただけでヤバいのに一緒になんて寝られるわけがない!」
「敦がいて良かったよな」
本当に佐々木様様だ。
「俺一人だったら誠の押しに負けてたと思う。で、襲って嫌われてたかも」
「襲うってセックスしたってことか? 仕方知らないんじゃなかったのか?」
「そんなこと出来ないよ。ただ、頭から足の先まで舐めまくりたかった」
空気感で引かれたのが分かる。
「俺は変態と言われてもいいよ。誠の体が甘そうで、美味しそうで……全部、隈無く舐めたかった」
「いや、気持ちは分からなくもない。俺だって敦のこと本当はもっと舐めたいと思ってるからな」
「実際、甘い?」
俺は何を聞いているんだろう。
でも、気になるのだから仕方が無い。
「甘いよ。唾液も汗も、肌も」
思い出してるのか、ジュンの雰囲気が急にエロくなる。
「だよなぁ。俺も早く味わいたい!」
「どんどん変態になっていくのな」
「誠のせいだよ。誠が可愛いのがいけないんだ」
「そこは否定しない。俺も自分が変態になったのは敦のせいだからな」
それでもジュンはどこか嬉しそうだ。
佐々木のこと好きで仕方が無いって伝わってくる。
「誠は付き合うことの意味をちゃんと分かってると思うか?」
「ゆくゆくはセックスするってことか?」
はっきりとオブラートに包まれることなく聞かれた。
「そう。そういうこと込みだってこと」
「頭では分かってるけど、実際にどんなことをするかは分かってないんじゃないか?」
「だよなぁ。明さんがいつでも相談に乗るって言ってくれたけど、あの人の場合上級編ばかりになりそうだよな」
ジュンに肩にポンと手を置かれた。
「それが、HOW TOを教えてもらったの明さんなんだけど、初歩の初歩から教えてくれるよ」
「実践で役に立ったか?」
「頭が真っ白になったし、俺の場合は敦がリードしてくれたからな。情けないけど。ただ、何も知らずにその日を迎えるのとは違くて、色々と教わって良かったとは思ったな」
「そっか。じゃあ、俺も明さんに色々と教わろうかな」
こんな悩みも難なく言えるジュンの存在は俺にとって特別だ。
色恋に発展する確率はゼロだけど、これからもずっと親友でいて欲しい。
「色々とありがとな」
「いや、ヒロと河上にも幸せになって欲しいからな」
いつものように抱き締められて頭をぽんぽんされる。
もうやめると言ったけど、やっぱり落ち着くから続けて欲しい。
「本島と地迫先生にも幸せになって欲しいよな」
目を覚まさない本島の姿を思い出すとやりきれない。
ジュンもそう思っているのか、抱き締める腕に少し力が入るのが分かった。
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