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第419話.色とデザイン

静が採寸をしている間にどのデザインがいいか見るけど、自分の為にデザインされたそれにみんな釘付けだったから色を決めるだけだった。 「オレは普通に紺かな」 「僕はこれ、えんじ色かなぁ。赤いの可愛い」 「誠先輩はえんじ色ですか? まさか僕も作ってもらえるとは思ってなかったけど……ピンクとかでもいいんですかね?」 「ピンクだとコレじゃね?」 色見本からピンクを探して来夢に見せる。 「少し薄めですけど、凄く可愛い!」 「ハル先生は?」 「俺も本当に着るの? でも、このデザインなら黄色……山吹色かなぁ」 「ハル先生って黄色似合いそう!」 「静はこれだったら絶対にモスグリーンだよな!」 「敦さすが! 絶対に似合うね〜」 静がそれを選ぶかは分からないが、デザインからしてもそうだろう。 目を閉じて想像したらすごいことになった。 オレはともかく、色とりどりのメイド服のみんなが可愛い! ワイワイと話をしていたら静が上から降りてきた。 手摺りをしっかりと握ってゆっくりと降りてくる。 「あ、静終わったんだ」 「うん。次は誠だって」 「はーい」 誠が2階に上がるのを見送ったら、静と明さんはすぐに家に向かうと出発する。 「じゃあ、後でね」 「ああ。気をつけてな」 「敦、ありがと」 バイバイと手を振る静は少し微笑んでいた。 早くもっとちゃんと笑えるようになったらいいよなぁ。 「敦はどのデザイン?」 「どれだと思う?」 潤一が後ろから覗き込んできた。 「あ、コレだろ」 「やっぱり分かるよな」 見上げると何度も頷かれた。 「似合うな。絶対に」 「そうかぁ? オレも執事が良かった」 「俺はメイドの敦を抱きたいけどな」 耳元で囁くように言われて顔が熱くなる。 少し周りを見るが、近くには誰もいなくてふーっと息を吐き出す。 「バカっ」 デザイン画のメイド服を着たオレが執事姿の潤一に押し倒されたところを妄想してしまったら、それしか考えられなくなる。 いや、メイドが襲ったっていいはずだ。やっぱりいつかは潤一のこと抱きたいって思う。 嫌だって言われるかな……? 「敦! 次は敦だって〜……あれ? 顔が赤いけど、平気?」 「大丈夫! 行ってくる。変な事考えんなよ」 潤一はニヤって笑う。 なんか最近笑い方が明さんに似てきていて、すごく気になる。 「行ってらっしゃい」 その後の微笑みはオレの好きな顔してた。 いつもそんな顔してて欲しい。 「敦ちゃん、本当に背が伸びたわね。で、足が長い!」 「そんな、長くないですよ。デザインはみんな自分のために描いて頂いたものになりそうです。本当に素敵で……でもオレは執事が良かったなぁ」 諒平さんは少し笑いながら採寸をしていく。 「私は敦ちゃんはどっちも似合うと思うわ。生地が余ったら執事も作るわよ。そっち用も採寸するわ。ワイシャツは……とりあえずこれを着て」 メイド服用の採寸は数分で終わってしまった。 執事用は計る場所が多いのか、少し時間がかかった。 「敦ちゃんはもっと背が高くなると思うわよ。肩幅も結構あるから、がっしりとした体型になるかもしれないわね」 それを聞いて潤一に捨てられないか怖くなる。 今はまだ可愛いといわれるけど、そこから全く離れてしまったら………考えるだけで恐ろしい。 潤一が一緒にいない未来なんて、来なくていい そう本気で考えるほどオレは潤一に溺れている。 「敦ちゃん? ごめんなさい、変な事言っちゃったかしら」 「いえ、父さんがかなりがっしりしてるから、その可能性が高いと思います」 そっか、自分の体型とか、容姿とか………そういうのも変わったら振られる可能性があるんだよな……… 今後のことちゃんと考えないといけないな…………。

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