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第480話.可愛いしかない②

「……ダイ兄ちゃん?」 来夢の声に我に返る。 「来夢、ごめん。俺は勘違いしてた」 「うん。そうかなって思ってた……」 裸の来夢は目に毒で俺の着ていたTシャツを着せる。 それはそれで萌える格好だが……さっきよりはマシだ。 「あのね……キスだけはしたことがあったけど、あんな大人なのは初めてだった……それと準備とか、だよね?」 「あぁ、経験は無いのに知っていたのか?」 黙って頷くのを見ると言いたくないのかもしれないが、知りたい。 「どうして知っていたのか……聞かせてくれるか?」 「あのね……靖さんのこと調べてたら……多分準備とかしないだろうなって思って……ネットで色々と調べて、準備も自分で出来るならって………」 おっさんの所に行くことを覚悟した結果、物理的に自分の体が傷つかないようにと考えたからか…… 「それ以外に何かしたか?」 「うーん……それだけだよ。あ……さっき、僕、おもらししちゃったよね? ごめんなさい」 「いや、おもらしはしてないよ。あれは……」 なんて言えばいいんだ? 射精だっていえば分かるか? 絵を描く写生と間違えたりしないか? 出たのは精液だよ。 なんかダメな気がする…… 色々と考えたが結局は考えたことしか返せなかった。 「……あれは?」 「射精だ。精液が出たの」 「え……あれが………」 「変な感じだった?」 「とにかく、気持ち良くて……それだけで……ダイ兄ちゃんも出したい?」 そっと股間を触られてそのまま手を引っ込める。 来夢の可愛さにギンギンだからなぁ きっと怖がられてるな 「怖いだろ? 無理して触ったりしなくていいよ。これの処理は自分でどうにかするから気にしなくていい。来夢のことはもっと気持ちよくしたいからまた触ってもいいか?」 「怖くなんてないよ! 僕、ちゃんとダイ兄ちゃんのものになりたい! それとも子供だから……ダメ?」 下から覗き込むように見上げられる。 何だってこんなに可愛いんだよ! 「ダメじゃないけど、そんなに急がなくてもいいと思うが?」 「だって……夏休みが終わってお仕事始まったら綺麗な人とかいるでしょ?」 「仕事場にってことか?」 「うん」 沈んだ顔をする来夢は分かってないなぁ 「俺にとって1番は来夢だから他を見ている余裕なんて無いよ」 顎に指を当てて俯いた顔を上げる。 「でもっ!」 「こんなに可愛い恋人がいて、どうしたら他に興味を持てるっていうんだ? 好きだって気持ちは膨れ上がる一方なんだぞ?」 「それは……僕も同じ……大好き」 俺の腕をきゅっと握り来夢が近づいてくる。 途中で目を閉じて緊張からか長い睫毛が震えている。 自分から動きたくなるが、じっと堪える。 場所を間違えないようにか腕を握っていた手が俺の両頬に添えられる。 唇が合わさる直前に来夢が呟いた言葉に胸がギュンとする。 「ダイ兄ちゃん、好き、大好き」 何度も合わさる唇が身体全体で好きだと伝えてくるのが愛しい。 ギュッと抱き締めると驚いてか、目が開いた。 「え……ずっと見てたの?」 「見てたよ。本当に可愛いな。ずっとずっと見ていたい」 少し寂しそうに笑う来夢の背中をさする。 「どうした? 何か不安か?」 「僕が成長して可愛くなくなったら……いらないよね?」 抱き締めていた腕を下ろして2人の間に空間ができる。 「バカだな。俺の中で来夢は一生可愛いの。だからずっと一緒にいてくれるか?」 プロポーズをしている気分になる。 今は口約束でもいいから来夢からの肯定の言葉が聞きたい。 「本当に? 僕も大輝さんとずっと一緒にいたい」 大輪の花が咲くように笑顔になる。 「………その(あかし)として……抱いてください」 俺のTシャツを脱いでこちらに来るとパジャマのズボンを脱がせようとする。 「来夢?!」 その手を掴んで離させる。 「どうして? 僕はここに来るってなってから覚悟を決めてるのに………」 涙を浮かべる来夢の目尻に口づける。 「来夢」 「はい」 来夢が俺の顔を見る。 ニッコリと笑うと不思議そうな顔をされた。 「1人ですることじゃないだろ? こういうことは。それに来夢は初めてなんだから、俺に気持ちよくさせられてたらいい」 今までの経験はこの日の為だったんだ。 「大輝さん……」 さっきとは違う気持ちで来夢を横たえてキスをする。 来夢の唇は本当に気持ちがいい。 唇を舐めると今回は自分から口を開き、俺の舌にそれを添えてくる。 その舌だけでなく口の粘膜まで優しく舌で辿る。 来夢の鼻を抜ける艶めいた漏れ出る声が俺の気持ちを昂らせる。 それでもどこかで本当にこのまま抱いていいのかと自問自答を繰り返していた。

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