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知らない世界
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いつもと違う匂いに感触......安心するけれど不安になる
だってこのままずっと感じていると忘れてしまいそうで怖い
彼の声も匂いも感触も....ずっとずっと刻み付けておきたいのに...
ーー目を覚ましたユウが最初に見たのは見知らぬ天井だった
「.....」
頭がガンガンして鼻の奥がツンと痛む
ゆっくり起き上がると身体がひどく重かった
ベットもいつもの違うし見渡す限り見知ったものが一つもない
どうしてここにいるんだろう...どうしてだっけ......なんだっけ......
頭がなんだか回らない
まるで頭が考えることを拒否しているみたいだ
ーーーといっても自分が考えられることなんて大してないのだけれど
「ユウくん、起きた?」
その声に顔を上げると、椎名がホッとしたように近づいてきた
「う....?」
「良く寝ていたからね、少しはすっきりした?」
椎名がユウの髪にふわりと触れて微笑む
「どうしよっか、お腹すいた?なにか食べようか...」
椎名に言われた途端にユウのお腹がきゅるると音を立てた
散々泣いて、体力を使ったらしい
椎名はクスクス笑って「何か作ってくるね」とその場を離れていった
椎名の部屋はリビングにベットが置いてありユウはそこに寝かされていた
キッチンにいる椎名の後姿が常に目に入り、ずっと眺めることができた
「.....」
そうか....もういないんだ
ユウは今一度自分が置かれた状況を思い返して手の平を握った
そこはもう包帯がきれいに巻き直されていて、まるで何事もなかったように元通りだった
元通りなら彼のそばにいられた頃にまで戻れたらよかったのに....ユウはそう思った
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