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ユウの頭を撫でた涼介の太くて浅黒い腕に大ぶりの金の時計
煌びやかな輝きを放ち、一瞬だけでそれが高級品なのが誰の目にも分かるほどだった
ユウは涼介の腕にそれを見つけると、興味を示したように小さな手でそっと触れた
「あ?時計?」
触れられた腕時計を涼介はもっと見えるようにユウに向かってシャツの袖を捲った
ユウはそれを食い入るように眺めてから、壁にかけられた時計を振り返った
おんなじだ....かちかち音がしてる
椎名の部屋に来てユウは時計ばかりを見ていた
ずっと同じ音を鳴らして絶えず同じ動きをしている
ミツルの部屋にはデジタルの時計しか置いていなかったからユウにはそれがなんなのかわからない
グルグルと回り続ける秒針をただひたすら眺めて一日過ごすことができそうだ
彼の部屋にないものばかりであふれた椎名の部屋はユウにとって驚くことばかりで戸惑ってしまう
ユウは涼介の腕にしがみ付いて腕時計に耳を寄せた
「なに?お前、時計好きなの?」
「音がするからじゃない?時間は分からないと思うけど」
かちかちかちかち.....
その音を聞きながらユウは無意識に口を開いた
「....ち.....かち」
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