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秒針を刻む音を真似するようにユウは口ずさむ 「かち...かち...」 涼介お椎名は顔を見合わせて目を丸くした 「あ?今なんて言った?!」 「え?え?ユウくんっ!!もう一回言ってみて?!」 「う...?あぅ...」 目をパチクリとさせて答えられないユウを涼介がひょいっと抱き上げる 「お前かわいーなぁっ!!すげぇじゃんっ!!」 「あ?...あ?」 「すごいよ!ユウくん!すごいよっ!!」 涼介は軽々しく抱き上げたユウを大げさなくらいぎゅうっと抱きしめた 涼介の背はミツルよりも高くて天井がうんと近く見えた ユウは驚きながらそこから落ちないように涼介の首に巻き付いた 「ユウくんは本当に、人見知りしないね」 椎名は涼介に抱かれたユウを見ながらホッとした表情を浮かべた 椎名がユウに初めてあった時も、人見知りは少なかったように感じた あの時、彼に捕らわれてどうしようかと途方に暮れていた そんな自分にすぐに懐いてくれて無邪気に笑顔を向けてくれたユウにどれだけ救われたことか もし一人きりだったら....と考えるとそれだけでぞっとする けれど、ユウはその中でたった一人でいたのだ 誰にも助けてもらえず、その状況すら理解できぬまま、ミツルだけを頼りに生きてきた 別れは辛いけれど、外の刺激が少しでもユウのためになればいい そうなってもらえるようになんでもしようと椎名は決めていた

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