「ユウくん...」 泣きたくないのに......泣いても仕方ないことなのにどうして涙は止まらないんだろう どれだけ泣いても彼は自分を迎えに来てはくれないんだ 「ひっく....みぃくん」 椎名には涙の理由は言葉にならなくても伝わってしまう 一生懸命、涙を止めようとするユウの手を椎名はそっと触れて自分に引き寄せた 「...？」 「ちょっとお話をしようか、ユウくん」 ユウと目線を合わせると、いくつもの涙の筋を頬に作りながら大きな瞳を揺らしている 椎名はユウの瞳から溢れて止まらない涙を丁寧に拭って目を細めた 「ミツルくんの事も、これからの事もちゃんとお話ししてあげる」 どうせ今夜は眠れないんだ 少しでも気持ちが和らぐように何度でも、理解できるまで話をしてあげよう 椎名がそう言うとまるで返事をするようにユウの小さな手が握り返してきた