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ーー分かる、全部分かるの
椎名が何を伝えようとしているのか不思議なくらいユウには分かることができた
「あ...ぅ」
”分かる”と椎名に伝えたいけれどユウにはそのすべがない
ただ頷くよりももっともっと伝えたいのに、どうして自分はうまくしゃべることができないんだろう
「ミツルくんが迎えに来るまでここで僕と一緒にいよう、きっと楽しいよ」
椎名はこれからの生活を思い浮かべて思わず笑みをこぼした
「もう誰もユウくんを泣かせたりしない」
「.....」
ーー本当はさみしい
みぃくんと一緒にいたい、独りぼっちは嫌なの
......だけどせんせぇはいつもユウのお願いを叶えてくれた人だから
小指を繋いで”やくそく”をしてくれたから
せんせぇはきっとまたみぃくんと一緒にいられるようにしてくれる
みぃくんはユウを迎えに来てくれる
それまで信じて待っていよう
待つのは得意なことだから
いつもいつも大好きな彼を、”みぃくん”だけを追いかけていたんだから
いつものように笑って優しく話してくれる椎名をユウが信じられないわけがなかった
きっと大丈夫......椎名の”大丈夫”はユウに安心を与える
それが分かっているからミツルもユウを椎名に託したのだ
「これからよろしくね」
顔を崩して笑う椎名に向かってユウは無意識に口を開いた
「---は...い」
ユウの返事に椎名は思わず目を見開く
今まで理解できたことを表すのにユウが返事をしたことはなかった
「ユウくん...”はい”って言ったの?お返事してくれたの?」
「う...?」
「うれしいなぁ!!僕、頑張るからね」
目をぱちくりさせるユウに椎名は満面の笑みで喜んでいた
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