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「おぉっ!!やってんなぁ」 二人の姿を見るなり弾んだ声を出したのは涼介だった 「ユーウ!!俺のこと分かるかぁ!?」 ユウはまだ涼介には慣れていないようで彼の姿を見るなりさっと椎名の後ろに身を隠した 背中越しにぴょこっと顔を覗かせて涼介を観察している 「涼介...」 「つーかえらいことになってるな、おい」 涼介の見渡した先には散らかり放題の部屋 びしょ濡れのユウに心底疲れ切った椎名となれば聞かずとも今の惨状が分かる 「目が離せなくて....」 みなまで言わずとも涼介は理解して苦笑する 「先生、根を上げるのは早いんじゃねぇの?」 「分かってるよっ!!」 ぶつぶつ言っている椎名に構わず涼介はずかずかと部屋に上がり込んでくる 足の踏み場もないような部屋の中を器用によけながらダイニングまでたどり着くと抱えていた荷物を置いた 「お前さぁ、もう少し、掃除しろよ」 「分かってるよっ!分かってるけど.....あぁー!!ユウくんっ!それダメっ!!」 ユウがまた何かを触ろうとしているのが見えて椎名が真っ青になりながら声を上げた すると涼介がすかさずユウをひょいっと抱きかかえてそれを阻止する 「バカ、やめろっつーの」 「う...?」 ユウは突然、抱き上げられてびっくりして手に持っていたものを床に落とした よく見るとそれはハサミでどうやら机に置いてあったペン立てから取り出したらしい 一歩間違えばケガをしているところだった 「ばかっ!!ユウの手の届くところに置いておくなよ」 「う....ごめん....」 ユウの行動はまさに赤子そのもので、なんでも触るしなんでも口に入れようとする なんでも興味を持ってくれるのはいいことだけれど、一分一秒も目が離せなくて椎名は気が気ではなかった 「世の中のお母さんの気持ちが痛いくらい染みるよ、本当に」 子育てに心身ともに疲れ果てて、心のバランスを崩してしまった患者を椎名はふと思い出した 頑張りすぎないように.......なんて今となってはそんな当たり前のことしか言わなかった自分を恥じてしまう 人を責任もって育てるということはそれほどまでに大変なことなのだ

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