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「大変だとは思っていたけど...本当に赤ちゃんみたいだからさ」 バカにされたと睨んでいたものの、椎名は涼介からもらった子育ての本をぺらぺらと捲っている 子供への接し方や注意の仕方なんかは思っているよりためになりそうだ ユウはというと涼介からもらったおもちゃたちに囲まれてそれらに夢中だ 一人できゃっときゃっと遊んでいる 「仕事は?いいところ見つかった?」 涼介の質問に椎名は顔を曇らせた 決まらないどころか探しにも行けていなかった まだユウを一人で留守番させる事はできない それができるようになるまでは当分先だと思う 「....そんなことだと思ってた」 二人の間にどうなるものでもない暗い空気が流れ、重石のようなものがのしかかったような圧迫感を感じた 埒のあかない問題にぶつかっているようで先を考えるだけで頭が痛い すると涼介がその空気を壊すように重い口を開いた 「あのさ、お前......俺の会社で働かねぇ?」 唐突な申し出に椎名は目を見開いて彼を見上げた 「は?!」 「あー...だからお前うちで働けよって言ってんだよ」 「はぁ!?働けるわけないだろうっ!!」 椎名は間髪入れずに反論した 涼介は外食産業をメインにしている会社だ 難しいことは椎名には分からないがそれ以外にも手広く事業を手掛けていると聞いている 話を聞く限りバリバリと働く優秀な企業戦士がたくさんいるだろう その中に自分が迎え入れられるとは到底思えない 椎名は医者になるまでアルバイト一つしてこなかったような男だった いくら涼介の口利きだといっても自分が役に立つとは思えなかった たとえ雑用でも迷惑かけるなら世話になるわけにはいかない 「僕は涼介みたいな仕事なんて無理だよ、営業とかできないし....」 「誰が営業っつたよ!お前みたいのにやらせるかよっ!!」 涼介は呆れたように頬杖をついた 「じゃぁ...何やるの?僕ができる仕事なんてあるの?」 おそるおそる伺う椎名に涼介は持ってきた荷物の中からいくつかの書類を取り出した 「なに?」 「とりあえず説明すっから、悪い話じゃねぇよ」 顔の前で手を組んで話始めた涼介はまるでビジネスの話をする時のように真剣だった

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