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「お前が”うん”って言えばすべて丸く収まるんだけどなぁ...」 涼介はじりじりと外堀を埋めて椎名を追い詰めていく 「もぉ、変な事言わせないで!」 「なぁって!ユウぅ??そう思うだろ?」 いたずらな笑顔の涼介は猫なで声を出し、あの手この手でユウから答えを引き出そうとする 「ユウくんには分かるわけないでしょ?」 椎名が涼介をキッと睨むとユウは突然抱きついていた腕の力を強めた 「ユウくん?」 何事だと椎名がユウの顔を窺うと上目遣いの大きな瞳が見つめていた ユウは椎名と視線が合わさると次の瞬間、口角を目一杯引き上げて笑った 「せんせぇ...すきぃ」 えへへっとほんの少し頬を赤らめるその顔に、椎名も涼介も驚いて固まってしまった 2人はゆっくり顔を見合わせて、その後すぐに金縛りが解けたように声を上げる 「聞いた?!今の!?僕の事好きって...好きっていった!?」 「おぉぉ!!お前マジか?!俺にも言えよ!なぁって...」 こんな風にユウがミツル以外に興味を持ち、それを自己表現する事など今までなかった それが出来たということは少なからずこの生活を受け入れてくれているということだ それを目の当たりにした2人は一瞬にして射抜かれてしまった 「これで決まりだな」 涼介はくくっと笑って顔を抑える 「あ...えっと....」 「あ?この後に及んでまだ決めかねてるって?」 ーー守りたいものがあって、信頼する友人が手を差し伸べてくれる きっとこれからも困難はたくさんある事だろう 自分一人では対処できない時、涼介がいてくれたら... こんなにありがたいことはないじゃないか 椎名は自分自身に問いかけた 「...そうだな」 そしてゴホンと一つ咳払いをすると涼介に向き直って頭を下げる 「本当にありがとう、これからもよろしく」 椎名は決意して涼介の提案を了承した 新しい生活の基盤が出来た事はとても心強い これからはこの恵まれた中でユウを精一杯大切に守っていこう たくさんの愛を注いで、できる限りの事をしてあげよう ーー彼が迎えにくるその日まで純粋無垢な天使のそばを離れない 椎名は覚悟をやっと決めることができた

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