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マナトは真っ暗な夜道を1人歩いていた ズキズキとする腕は時間を押すごとに痛みが増している気がする 「痛ぇ...切るんじゃなかった」 なんでいつもこうなんてしまうのだろう ただ一緒にいてほしかっただけなのに... 「これからどうしよ......」 思わず漏れる弱気な言葉はますます自身を途方も無い闇へと導いていく このまま彷徨い歩いたってどこに行けるわけでもない あてもなく進むマナトの目にぼんやりとコンビニの明かりが見える 何とかあそこまで辿り着けたら 運良くイートインスペースがあるかもしれない 朝がくるまでの間、身体を休める場所が欲しかった 淡い期待を胸に重い足を進める やっとの思いでたどり着いたコンビニにはラッキーな事にイートインスペースが確保されてあった ホッとしながら自動ドアの前に立つとガラスに自分の姿が映った 金髪のぼさぼさ頭 目が死んでるみたいでダサくて疲れ切った顔 なんだかみじめで恥ずかしくて最後の一歩が出ない 「ちっ」 舌打ちしたマナトは仕方なく駐車場の縁石に座り込むと、胸ポケットから煙草を取り出した 見覚えのある銘柄は彼と同じ 煙草だけじゃない 服も、携帯も趣味も食べ物の好みも考え方さえも、彼に合わせてきた マナトにとってそれは特別珍しいことではなく、付き合うなら当然のことだと思っていた 相手もそれを喜んで受け入れていたと思っていたのに...... 「お前、重いんだよ」 マナトが付き合う相手は必ずそう言うのだ どれだけ楽しい時を過ごそうとも、どれだけの愛の言葉を並べようとも最後には決まってこのセリフを吐かれてしまう さっきまで「彼」だった相手も、その前も、その前も...... 不安になればなるほど引きとめたくてそのたびに自分の身体を傷つけた 最初はみんな心配してくれた けれどそれも最初だけ、あとはゴミ同然に捨てられる......その繰り返しだ マナトは今さらながら今までことを振り返りいたたまれなくなって煙草を握りつぶす 「おんなじだ」 脆くて簡単につぶれてゴミになる 誰にも必要とされない、誰にも気づいてもらえない、なんの価値もない自分と同じだ マナトはうなだれながらただただ時間が過ぎるのを待っていた 真夜中の風はうすら寒くて傷ついた心に堪えてしまう

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