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孤独な少年
「あっ...はぁっ!!それっ...いぃっ!!もっと、もっとして?!」
腹部にかかる圧迫感、立ちのぼる他人の匂い
焦げてしまいそうなほどの熱がたまらなく愛おしい
マナトは強請るように見知らぬ男に身体を預けていた
「はっ...いく!!」
真上で汗だくになって腰を振る男に対して恋愛感情などはないけれど、マナトはこの行為そのものが好きだった
求められることがうれしくて、自分が必要とされていると実感できるから
今日知り合った男に対した会話もなく身体を許すことになんの抵抗も感じない
こんなこともマナトにとってはいつものことなのだ
ーーーできればこの微睡のなか眠ってしまいたい
けれど今日ベットを交わした相手はどうやらマナトのささやかな願いを叶えてくれないらしい
絶頂に達したあと、まるで魔法が解けたかのようにあっさりと身体が離れていく
枕元に置いた腕時計をとると冷めた口調で言った
「終電間に合うな、俺このまま帰るわ」
「えっ...一緒に泊まってくれるんじゃないの?!」
「...と思ったんだけどやっぱいいわ」
そういって急ぐように床に脱ぎ散らかした洋服を拾いだした
「3万だっけ?君は泊まって行けばいいよ」
男はあっという間に着替え終わると財布から万札を出してサイドテーブルに置いた
ネクタイを締めながら「ありがとね!また店であったらよろしく」
声は笑っているはずなのにそいつは一度も振り返ることもせず出て行った
「次なんてねぇよっ!!」
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