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マナトは裸のままゴロンとベットに仰向けになった 今日のホテルの天井は洋風の柄で彫刻みたいな絵が書いてある 昨日はなんだかメルヘンチックで、その前はピンクの無地... 付き合っていた男に追い出されたマナトは行く当てもなく取り合えず知り合った男を転々として飢えと寒さをしのいでいた 売り専目当てが集まる店に出入りして相手を物色する 条件は一つ 一緒に泊まってくれること 見た目はなんでもいい、値段もいくらでもいい sexした後も傍にいて寝てくれればそれでよかった そしてできればそのあとに俺を気に入ってくれて付き合いたいなーなんて思ってくれたら儲けもの だけど今日の相手は失敗だった スーツ姿のきちんとした身なりで飯もいいとこ連れて行ってくれたのに... 一緒にいてくれればつけていた左手の指輪も気づかないふりしてやるのにな それが本物の愛じゃないなんて誰に言われてもかまわない いつか俺の事をちゃんと分かって愛してくれるようになってくれれば最初なんて関係ない 「なんか...白けた」 だからってここを出ても行く所なんてないし、とりあえず今日は寝る場所だけは確保できたと思うべきか マナトは床に散らばったシャツを手繰り寄せる グシャっと掴むと手にはいつもと違った感触が伝わってきた 「なんだっけ....」 それは丁度胸ポケットのところ ぐしゃぐしゃになったそれをつかみだして透かすように眺めると数日前の記憶が一気に戻ってきた 「あー、この前の......」 左手の傷は思っているより良くなっている あの人の手当てが良かったからかもしれない ”困っているなら連絡して” 「困ってるなら...って今なんだけど」 マナトは腕を目元に押し当てて無理やり身体を休めた

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