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「...ですから、アポはお取りになってますか?」 「アポ?!...そんなんねえけど」 「でしたら、また改めて...」 「やっ!!待って、待ってっ!!本当に知り合いなんだって...」 最初の難関は受付嬢&警備員だった 名刺片手にズンズンとオフィス内を進むとあっという間に大柄の警備員に取り押さえられた 首根っこを掴まれて受付まで引きずられる 受付の女は張り付いた笑顔で胡散臭い敬語を使いながら、マナトを上から下まで眺めていた けれどそれも仕方がないことだ なぜならこの大きなオフィスビルの中でマナトだけが金髪頭にラフなシャツ、下はボロボロのダメージジーンズ姿 悪目立ちというよりはっきり言って場違いだった けれどマナトもバカではない 会ってもらえないことも考えて秘策を練ってきたのだ マナトの手にはコンビニの袋 その中には大量のプリンを買い込んできたのだった あの日、男が走りあった後プリンを忘れていった 男のくせに夜中に買いに来たのかと思うと疑問だがこれを渡せばきっと自分に気が付いてくれるような気がした 「忘れ物なんだって!取り次いでもらわないと困るんだよっ!」 粘って粘ってテコでもそこを動かないマナトに受付嬢はしぶしぶ受話器を握る 不満げな顔でそれでも崩れない丁寧な口調で話す受付嬢の言葉をマナトはにやけながら聞いていた

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