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ユウと椎名

ガシャンーーガタタッーーー 「痛って...」 ものすごい音とともに彼は床に飛ばされるように転がっていた 椎名は怒りで肩で息をしながらその前で立ち尽くしている ユウはその横で座り込んだまま驚きすぎて固まったままだった 彼は のっそり身体を起こして、頭をおさえながら椎名をにらみつける 「痛いなぁ...なにするんだよ」 「犬みたいな扱いするな!!」 身体の中から湧き上がる怒りに椎名の体中の血が沸騰していくようだった 人を人とも思わない彼の行動に我慢が出来なかった なぜこんなことができるのか なぜこんなことをするのか 椎名はユウの首輪を外そうと手を伸ばす けれどギュッと締まった首輪は外そうにも手錠のせいでなかなか緩められない 「あっ....ぁ....」 それに外そうとしてあげているのに当のユウはまるで首輪を外されるのを嫌がるように椎名の手に爪をたてた 「だめだよ!こんなの外さなきゃっ」 その時、また急な衝撃が首に走ってそのまま覆いかぶさるように椎名はユウごと倒れこんだ 「ぐぁっぁ...」 力が入らない 意識が飛びそうになる そのまま脇腹に一発強力な蹴りを入れられて勢いよく体を仰向けにされた 「ゲホッ!」 目に映るのは自分を跨ぐようにしてゆらりと立っている彼の顔 「体、動かないでしょ?」 そう言いながら手に握られた黒いリモコンのようなものを見せた 「これね、、マイオトロンって知ってる?スタンガンより強力なんだって。」 見下ろしながら、その黒いリモコンのようなものを光らせると、バチバチと白い稲妻のような電流が見えた 「なんかねー、神経にキいちゃうみたいで、大人は15分ぐらいは動けなくなるみたいなんだけど、先生には結構キいちゃうみたいだね」 彼はしゃがんで椎名のお腹の上に座り込んだ 「ぐっ...」 「本当はさぁ、ユウに使おうと思ったんだけど、子供だから飛んじゃうと困るじゃん?」 そう言って座り込んだ腹部の服をめくり、直接そのリモコンを当てた ひんやりした感触が伝わってくる 「完全に意識ってなくなるのってどれくらいかな?試してみていい?」 「やっ...」 唇が震えて声を発することができなかった 「!!!!!」 バチバチとした音と同時に彼から秒数をカウントする声が聞こえた 「1...2...」 3秒目が聞こえたかよくわからないまま椎名の頭は真っ白に意識を飛ばした

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