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暴力はいくらこちらに正当性があったとしても分が悪いのは先に手を出したほう この件はまだ小学生という年齢と、学校側の配慮があって子供同士の行き過ぎたケンカとして処理された どうやら奴は一命をとりとめたらしいが、当分は入院が必要で、声はまだ出せないらしい あのうるさい声が出ないなら良かったじゃん...と思ったけど、俺もいろいろ大変だった 警察には何度も話を聞かれたし、専属のカウンセラーまでつけられた 白衣を来た髪の長いきれいな女の人 優しく笑うと頬にえくぼが印象的だった その人と二人っきり 殺風景な部屋で、たわいもない話をする時間が毎週用意された 話の内容は例えば何が好きか...とか、将来何をしたいか...とか。 そしてその時間の終わりには人の命がいかに大切かを説かれて帰らされる これがなんの意味があったのかは今でも疑問 大人になった今もあの頃話した内容はほとんど覚えてない だけどそんなのが続いていい加減うんざりしたある日、ちょっと試しに言ってみた 「ひどいことをしちゃって....後悔している」 そういってめそめそ泣いて見せてみたところ、その人は俺の背中を擦りながら「良かった、良かった」としきりに言った  そして俺の心のケアたるものはこれにて終了となる 嘘は人を操ることができる 俺の小さな嘘はそれを証明してくれた その日の帰り道、もう通わなくていいのかと思うとうれしくて、コンビニでアイスを買った 食べながら歩いて帰り、ポケットに入っていたクリニックの診察券を道端に捨てた ちなみにその後の俺は、やはりそのまま学校には通うことができず転校する羽目になった 転校すると環境になじむのが大変で参った あの頃の俺に何か一言あるとしたら こんなことなら殺してしまえば良かったな。次は急所をねらうように!...だ。

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