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大事な名前
「重いからもうそれは嫌だ」
抱っこをせがむユウの腕を軽くかわして彼は言った
彼は今日出かける事もなく家にいる
ユウはその彼の後をずっとついて回る
彼が席を立って煙草を吸うときも、キッチンに何かを取りに行くときも...
抱っこがだめなら腰に巻き付いて、引きはがされると今度は腕にしがみ付いた
「暑いって」
腕をすり抜けるように交わされると懲りずに次は手を繋ぎ、それも嫌がられると服の裾をほんの少し引っ張った
「服伸びる」
パチンと軽く手を弾かれてるとユウは少しうつむいて最後は床にうつる彼の影の上に座り込んだ
「もぉ、疲れた...ちょっと休憩させて」
ソファを背もたれにして床に座りこむ彼は片膝をたててぐったりする
その様子をずっと見ていた椎名は笑いながら言った
「仕方ないんじゃない?君がいてくれて嬉しいんだよ」
そして目くばせするように笑いかけるとまるで分かったようにユウもまた明るい顔をした
構ってもらえることが嬉しかった
抱き合わなくても繋がらなくても笑ってもらえる事がうれしかった
「あ!だから重いって」
ユウは座り込んだ彼にまたがり首にその腕を巻きつける
げんなりしながらも膝に乗ったユウの腰を支えて抱き寄せる
「あはは、よかったねー!ユウくん、今日はずっと一緒にいれて」
「もぉ、先生代わってよ」
「えー、ユウくんは君じゃないとだめなんだよ。ねぇ??」
無言でいながら返事をするようにユウは椎名を見上げてパチパチと瞬きをした
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