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大事な名前-ユウー
「せ...んぅせ..?」
舌が絡まるような気がしてとゆっくり声をだした
けれど目の前の"せんせい"はそれを聞いた途端、すごく変な顔をした
目が大きくて眉毛が歪んで...なんだか怒ってるみたい
「あ...」
ーーだめだったのかな
やっぱりちがうのかな
そう思ってもう一度声を出そうと思って口をあけたらすぐにぎゅーってされた
せんせいのぎゅーはとっても苦しくて息ができない
「すごいよ!すごいよ!ユウくん!!」
なんだかよく分からなくて... だけどせんせいはとっても喜んでくれて
ニコニコがもっとニコニコになった
なんだかポカポカしていい気持ち
「もう一回言って?僕のこと呼んでみて?」
もういっかい?
分かんない
「あーえっと、先生って、ほら、せ、ん、せ、い」
唇を指差して何度も言うからまたやってみたら、もっと上手に声が出た
「せんせぇ?」
「やったぁ!やったぁ!ユウくん!やったね!」
今度は手をパチパチして喜んだから同じように手を叩いてみたら一緒になって笑ってしまった
ねえ
せんせい
ユウもせんせいみたいになりたいの
お話がしてみたいの
ユウがお話できないとね
彼はとっても悲しい顔するんだよ
それがすごく悲しくていつも泣きたくなるんだよ
ねえ せんせい
いっぱい教えてもらったらユウもお話できる?
ねぇ せんせい
それでもできなかったら彼はユウの事嫌いになる?
それが怖くて怖くてたまらないの
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