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ーーーある日、 猫が死んだ
俺が飼っていた猫
正確には母親が知り合いからもらい受けた猫
俺が世話を任された猫
名前は...ミケ...ミーシャ...ミルク....なんだったけ...興味なかった
毛並みはふわふわのチンチラみたいな真っ白なやつだった
そいつは寝ても覚めても俺の周りをニャーニャー鳴いてまとわりついてどこ行くにもついてきた
猫は犬みたくべたべたしなくて自由気ままなそっけないものだと思っていたから正直意外だった
その頃、俺はたしか18歳
小中と問題行動ばかり起こすといわれ忌み嫌われていた自分が高校生になり新しいコミュニティを作れるはずなく...また作る気もなかった俺は通信で高校の資格をとりずっと部屋にこもりっきりだった
別に不便とも思わなかったし幸いうちは人より恵まれていたしただ何となく過ぎていく毎日を受け入れて過ごしていた
そんなとき母親が連れてきたのが子猫だった
「どうしても断れなくて...」
そういっている割には目は輝いて抱きかかえた子猫をいとおしそうに撫でていたのが印象的だった
それに対して反対も賛成もなかったし俺には関係ないと思っていた
父親は帰って来るなり生き物を飼うことの大変さを長々と説いていたがそのうち母親と一緒になってかわいがるようになった
両親の愛情を一身に受けた猫が数日でいきなり俺に懐き始めたのは....なぜかは分からない
撫でることも餌をやることもなかったのに気づくと俺に擦り寄るようにしてまとわりついていた
気まぐれに撫でてやればゴロゴロ言って膝にのってきたりして...
だからといって俺がすごく可愛がるようになったりはしなかった
所詮は猫
喋りもしないし何かをしてくれるわけでもない
俺にとってはそんな存在だった
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