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「は?ペット飼ってんの?全然気づかなかった」
聞こえてくるのはいつも母親とこいつの泣き声だった...ほかは何も聞こえない
「うん、ポチはいい子なんだよ?鳴かないし、大人しいんだ」
なんだか楽しそうに笑うガキ
話し相手に飢えているのか勝手にペラペラ話しだして全然それが止まらない
だからガキは嫌い...うるさいから
「お前のママはどこに行ってんの?」
「彼氏...のとこ...たぶんそう..でもね!ママはとっても可愛くて優しいんだよ」
聞いてもいないのに取り繕うように母親の話をする
「てゆーかお前、名前は?いくつ?学校は?」
「え?えーっと...えっと...」
考えるような内容でもないのに目をぐるぐるさせて一つ一つ悩んで答える
「ンッとね...アキラ...10...10...?学校は行ったことない」
まともに言えたのは名前だけ
年は10以上は数えられないみたいで実際の年齢は分からなかった
正直見た目も小さくて10歳以上なのかも判断できなかった
それから”アキラ”は聞いてもいない話を一人で話し始めていく
ママがどれだけ優しくていい人間かというようなことを話したり、たまに見るらしいテレビの話、可愛がっているポチの話
こんな目に合ってもそれが異常なんてちっともわかっていない
どれもが異常で非現実的で逆に俺は興味が湧いてしまった
明るくて疑うことをしらない純粋無垢でバカなガキ
「あっ!!ママだ!帰ってきた」
ひとしきり喋り終わったあとアキラは物音を聞きつけて嬉しそうな声をあげた
「またね!お兄ちゃん、ありがとう!!」
アキラは手を振ってベランダから消えていった
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