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俺はその声に飛び起きた 今度は寝ぼけてはいなくて頭の中は覚醒していた 声が聞こえる壁に耳を押し当てると二人の会話がはっきりと聞こえてくる 「ど...どうしよう、やばいよ!!」 「うるせえな!もとはといえばお前が!!」 うろたえて声を荒げる男女の声 なにかあった...何があった? 壁の向こうではおそらくあり得ないことが起きている気がした だってアキラの声がしない 「と...とにかく病院だ!」 「でも...」 安アパートの薄い壁はそこでせわしなく動き回る足音や車のキーをつかむチャリンッとした音もはっきりと聞こえた そして勢いよく扉が開いてガンガンと乱暴にアパートの階段を下りる音がして、少しの間が空いた後に車が走り去る音を聞いた 急にシーンと静まり返った部屋で俺は壁にもたれてぼんやりしていた アキラはどうなったんだろう... あの様子だとただ事ではないのはすぐに分かる 俺は外の様子を見てみようと立ち上がった 外の駐車場を見ていたらもしかしたら帰ってくるかもしれないし そしたらケロッとしたアキラが手をふるかもしれない もし俺の考えていることがハズレなら今も1人で部屋にいるはずなんだ 靴を履いて玄関を開けると、外は日が昇り始め空は白く霞んでいた 覗くように隣の部屋に目を向けると玄関の扉が半分ほど開いていた それは鍵もかけることを忘れるくらい慌てていた事を物語る 他人の家に勝手に入るなんてどうかしてる そう思うのに迷うことなく俺はその扉に手をかけた どうせこんな早朝に誰も見てやしない 心配していたわけじゃない ただ確認したかっただけだ 自分の想像が正解かどうか答え合わせがしたかっただけだ

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