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「自分がどれだけの事をしたかってことは分かっているよね」
椎名の問いに対してミツルはは無言で小さく首を縦にふった
「たくさん言わなきゃいけないことはあるけど、今ここで君を責めても何にもならない。だから怒らないよ」
「.....」
何かを言いかけながらまた口を紡ぐミツルに背中に椎名は手を添えた
椎名の手は思っていたより暖かく、ミツルはまるで自分の罪が少しだけ軽くなったような気になった
伝わる温かさに今まで頑なに隠して来たものがゆっくりと溶けていくような...そんな感覚だった
ミツルは今なら絡まった自分の思いを素直に言える気がして、素直に口を開いた
ほかでもない椎名になら言える、そして彼なら答えをくれるような気がした
「先生...やっぱり俺は頭おかしいのかな」
「え?」
「ダメだって分かってるんだ...傷つけたくないって、泣かせたくないってそう思うのに...気づくといつも目の前にはユウが転がってる」
ミツルが閉じた瞼の裏には笑顔いっぱいのユウの顔
けれど一度瞬きをすると次に浮かぶのは涙目で顔を引きつらせた顔が映る
「みんな俺をそういう目で見てきたんだ、次は何をするんだろうって...こいつは次は何をしでかすんだろうって」
硬く握りしめた手にだんだん力がこもっていく
怒りにも似た感情が心の奥から湧き上がってくるようにミツルは声を荒げていく
「両親でさえも俺を怖がってたんだ!!」
ーーだからみんな離れていった
怖がって近寄らなくなってみんな消えてしまった
どうすればいいかなんて分からなかった
誰も教えてくれなかった
だから無条件で傍にいてくれるものが欲しかった
あの猫だって本当は好きだったんだ
大事にしたかった
でもどうすればいいのか分からないーー
けれどユウはいつも泣きながら自分の後を追いかけてくれる
縋ってくれるのがうれしくて自分を許してくれるのがうれしくて傍にいればいるほど閉じ込めてしまう
それは自分勝手で理不尽な理由だ
口に出せば自分自身でさえ嫌悪するような言い訳をミツルはひたすら椎名に訴えた
ミツルが話し終わるまで椎名の手は一度も彼から離れることはなかった
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