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信じなきゃ きっと大丈夫...先生は俺とユウを無理やり引き離したりしない そう思うのにミツルの身体は現実を突きつけられるたびに重くなっていく あれも、これもと椎名に言われるたびに投げたしたくなって、やっぱりやめると言いたくなった それは今後の不安から来るものなのか、罪悪感から来るものなのかは分からなかった だけど椎名の言う通りにしなければダメなことは分かっていて、これからもユウと暮らしていくためには仕方がないことだとミツルは無理やり納得した そんなミツルの不安げな顔に気づいて椎名は声をかける 「そんなに心配しないで」 微笑む椎名の声はすごく穏やかで不安だらけミツルの心に温かいものを生んだ なんでこの気持ちを分かってくれるんだろう... 先生はいつも口に出さない気持ちを見透かしてくる 何故なんだろう...今まで周りや親にさえも分かってもらったことなどなかったのに ミツルに椎名がとても不思議だった 「不安かもしれないけど...それよりももっといい事の方が多くなるんだよ?」 「そう...かな」 「そうだよ!想像してごらん?君とユウくんが手を繋いで堂々といろんな所に出掛けられる事、ユウくんがいろんなものを見て楽しそうにしているところ」 椎名に言われてミツルは目を閉じる 今まで考えたこともなかった世界を想像する 自分がいてユウがいて手をつないで街を歩いていく 見るものすべてに目を奪われるユウに一つ一つ、指さしたもの名前を教えてあげると喜んで自分を見上げる 何かを見つけたユウが握った手を離れて少し先に駈けて行ってしまい、それを慌てて呼び寄せる するとユウは振り向いて笑顔で自分の名前を呼んで両手を広げて抱きついてくる 春には満開の桜の下を歩いて、夏には夜空に咲く花火を見上げて秋にはきれいな満月を追いかける 冬にはちらつく雪を見ながら小さなユウが凍えないように抱きしめて... そんな未来もなんだか悪くないような、すごく幸せな気がした 「ね?それってすごく素敵なことだと思わない?」 「...うん」 素直にうなづいて椎名と目を合わせるといつもと変わらない笑顔があった 「君が描く未来の中にたまには僕もまぜてくれるとうれしいんだけどな」 そう言って椎名はミツルの手を握った やっぱり椎名には人の頭の中が分かるみたいだ 彼はやっぱり馬鹿がつくほどお人よしで優しくていい人だ だってこんな自分にもう一度...ユウと一緒にいれる最後のチャンスをくれたんだから 「先生、今までもこれからも本当にありがとう」 変わるなら今しかないと思った 今ここで変わらなければもうきっと二人の未来はないのだろう ミツルは決意して深々と椎名に頭を下げた

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