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二人きり
ーーキスは許されているのか分からない
キスがダメなら何ならいいのか教えてほしい
これは良くてこれはダメって先生に聞いておけばよかったな...
「はっ...」
悩んでいたはずなのに啄んだ唇を離すと蕩けるような瞳が目の前にあった
ミツルは無意識に体は勝手動いてユウを腕の中に閉じ込めていた
潤ん瞳で蒸気した頬で見つめられたら我慢できなくなる
「ユウ...もっとしていい?」
「ぅあ...?」
「口開けて?ユウのちょうだい」
ミツルは親指で無理やりこじ開けて自分の舌を小さなユウの口にねじ込んだ
チュッ...クチュ...チュル...
水音がやけに響いて頭の中を麻痺させる
ーー なんで俺はユウと1つじゃないんだろう
別々だからこんなに悩んだり寂しくなったりするんじゃないのかな
1つになって溶け合えば、そんなことすら忘れるくらいユウことだけ考えていられるのに
「ふぁっ...」
無意識に崩れてしまいそうな理性はユウの吐息を聞いて揺れるのをやめた
ねじ込んだ舌を引き抜くと唾液が糸を引いて二人を繋ぐ
目の前のユウはもうすでに蕩けた目は焦点も定まらず手は無意識に彼の服の裾をつかんでいる
火照った頬に触れて耳たぶを優しく抓むとゾクゾクと身体を震わせた
「んぁ...んっ...」
「ここ好き?ユウは耳が弱いもんね」
フルフルさせながらもたれかかってくるユウの耳たぶを今度は唇で食んでみる
そのまま耳の穴に舌先を尖らせてねじ込めばあっという間に堕ちていく
「うんぁっ...はぁっ...」
そしてユウは誰に言われるまでもなく自然に彼の太ももに手を伸ばしていった
覚えこまされた身体はいつでもそれを忘れない
ユウの指先がミツルの服を捲り、直にその腹部に触れた時、彼はピタリと動きを止めた
「やっぱりやめる」
「ぁ...?」
もたれたユウの身体をひきはがして汗ばんだ髪を整える
「ごめんね?もうしないから」
「ぅ...?」
ユウの身体に宿った熱が急速に冷めていく
なんで?
どうして?
また自分はなにか間違えたのだろうか...?
ユウの目の色は途端に不安で染まっていくがミツルは気にせずその場を立ち上がって離れてしまう
「あぅ....」
「来なくていい、たばこ吸うだけだから」
追いかけようとするユウを制止するミツルの声は低く冷たかった
彼はキッチンで煙草を咥え火をつけようとライターに手を伸ばす
カタカタと小刻みに震える指がうまく火を付けさせてくれなかった
リビングで自分のことを見つめる少年と目を合わすことができないのは自分を制御できないからだと分かっている
ーーー大丈夫、大丈夫...
彼は自分に言い聞かせてやっと火のついた煙草を吸いこんだ
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