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「はっ?!!」 「おうじさまでしょおっ??わぁぁっ!!はじめてだあっ!」 少年はマナトに抱きつかんばかりに迫って次々と意味不明なことを繰り返す 「えっと...えっと...おひめさまっはぁ...えっと...りんご、たべましたかぁ?」 何!? なんなの?!こいつ!? 「き...きょおはっ...お馬さんで...きたのっ?!」 「はぁ?!」 目をキラキラさせながら少年はマナトを仰ぎ見ている マナトはその勢いに押されるように後ずさりする 「おっと」 下がった拍子によろけたマナトの身体を後ろから支えられた 振り返ると椎名が息を切らして戻ってきていた もちろん片手にはコーラを持って 「どうしたの?!」 「あ...えっと...」 「せんせぇっ、おうじさまっ...なのっ!!」 まん丸の目の少年は今度は興奮するように椎名に向かって訴えている 「こらこら、ユウくん、ダメじゃない、ここでお絵かきしてるお約束でしょぉ?」 「でもっ...おうじさま...」 「王子様?」 「えほんにいたの、おうじさまっ!!」 少年はマナトの髪の毛を指さしてぴょんぴょんと飛び跳ねている 椎名は少年とマナトを交互に見て、急に吹きだすように笑いだした 「マナトくんの髪の色か!絵本の王子様は金髪だったもんねっ!!」 「はっ??」 「ユウくん、残念だけど彼は王子様じゃないんだよ?マナトくんっていって僕のお友達なんだ」 「おとも...?ちがうの?」 「ユウくんはちゃんとマナトくんに挨拶したの?」 椎名がそういうと少年はハッとするように掴んでいた手を離した そして身体の前で手を合わせるとぺこりと頭を下げる 「こんにちはぁっ...えっと...ユウですっ」 顔を上げるとそこには満面の笑みが浮かんでいた

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